乃木坂抗争 ― 辱しめられた女たちの記録 ―





























































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第四部 第九章・金川紗耶&掛橋沙耶香の場合
掛橋沙耶香サイド―12.秘孔
「くっ…!こ、これは…!」
 突然、錆びついたように動かなくなった右腕を押さえ、狼狽する沙耶香。
「フフフ…どうだ?ほんの今まで動いていた腕が急に動かなくなる感覚は?」
 と自慢げに語りかけるノッポに対し、キッとした目を向けて、
「き、貴様…!私の腕に何をした…!」
「今、見た通りだよ。お前さんは“毒蛇”に噛まれたんだ」
「な…何ですって…?」
 ノッポは、これ見よがしに牙を模した爪を立て、
「中国の山奥に住む仙人が編み出した禁断の技、蛇淫拳…腕の先に二匹の毒蛇を飼い、その牙に見立てた爪で敵の秘孔を突く。お前は今、俺の左手の蛇に噛まれ、腕が麻痺する秘孔を突かれたのさ」
 饒舌に解説するノッポ。
「さぁ、次はどこに噛みついてやろうか…♪」
「くっ…!」
 睨み合う間にも、どうにか腕を上げようと力を込めるが、それを指先まで伝達できない。
 まるで、噛みつかれたところを境に脳からの信号が遮断されているようだ。
 上がらない…動かない…。
 自慢のストレートを繰り出す右腕が、一瞬にしてお荷物に。
 右腕を封じられ、一気に戦術が狭くなる沙耶香。
 最後の刺客として控えていた理由が分かったと同時に、左腕一本でどうにかなる相手ではない。
「しゃぁぁッ!」
 再び襲いかかるノッポに為す術がない沙耶香。

 がぶっ…!

「うぁぁっ…!」
 まるで毒蛇が噛みついた獲物に神経毒を注入するかのように、噛みついて一定時間は離さない蛇の手。
 グッ、グッ…と爪の先でそこにある「腕封じ」の秘孔を突かれ、右腕に続いて左腕も麻痺させられてしまった。
 だらんと垂れ下がった左腕を見て、満足げに離れていく毒蛇。
「くっ…!」
 両腕が上がらず、マヌケな立ち姿でヨタヨタとリングでふらつく沙耶香。
 まるで地面から鎖で繋がれているかのように左右の腕が動かせない。
「ハハハ!これで両腕麻痺!突かれた秘孔を突き直すこともできなくなったぞ!さぁ、どうする?手を使わずに俺に勝ってみるか?まだ一度も攻撃を当てられていないがなぁッ!」
「う、うるさいっ!」
 動かない腕を諦め、ハイキックを繰り出す沙耶香だが、そんな大振りな攻撃が自由自在に動ける蛇に当たる筈がなく、そもそも両腕麻痺のまま繰り出す蹴りなど体幹もグラグラで威力半減。
 あっさりかわされ、背後に回られると、
「足癖の悪い女は嫌われるぜ?ほらよっ!」

 がぶっ…!

「ぐっ…!」
 次はハイキックから下りた直後の右脚の太ももに噛みつかれた。
 そこで突かれた秘孔も腕と同様、麻痺の秘孔。
 牙が離れた瞬間、数秒前まで上がっていた右脚が、突然、鉛のように重くなって、動かないどころか移動もできない。
(ウ、ウソだ…そ、そんなことって…)
 狼狽が平常心のキャパを超え、顔面蒼白。
「さて…残るは左脚のみだが、どうする?お情け程度に一本ぐらいは残しておいてやろうか?ん?ん?」
 と、ニヤニヤしながら沙耶香の顔を除き込むノッポ。
「だ、黙れ…くそっ…」
「へへへ…そうかい。そういう態度をとるなら、遠慮なく、最後の一本もいただいておくぜ」

 がぶっ…!

「ぐぁぁっ…」
 肉に食い込む牙の痛みを感じているうちに、とうとう左脚も固まってしまった。
 こうして蛇淫拳の毒蛇に次々に噛みつかれ、封じられた沙耶香の四肢。
 自分ではどうすることも出来ず、ただ、ぷるぷると震えることしかできない。
「ハハハ!胸もアソコも丸出しで仁王立ちとは、なかなか根性が据わったお嬢さんだ。さすが女捜査官!自身の恥じらいなど二の次か?その志(こころざし)、処女にしてはたいしたものだ!」
「だ、黙れ…くそっ…!」
 強がる沙耶香だが状況は最悪…万事休すどころではなく、詰んだも同然。
 これでもう、不用意に近寄っても何の心配もいらなくなった。
 唇を噛むことしか出来ない沙耶香の眼前で牙を剥く二匹の蛇。
「フフフ…さぁ、次はどこを噛んでほしい?蛇淫拳も使いようだ。突く秘孔によっては相手の心臓を破裂させたり、気道を塞いで窒息死に追いやる暗殺拳ともなりうるぞ。試してみるか?んん?」
 スッと細い首筋にあてがわれる牙。
 それに対し、
「す、好きにしなさい…そんな脅しをかけられたところで、命乞いなんてするものか…!や、殺るならとっとと殺りなさい…!」
 と、一丁前に啖呵を切る沙耶香。
 それを聞いて、
「ククク…いいねぇ。カッコいいぞ、お前」
 とリングサイドからニヤつく幹部。
「お前のその死も恐れない度胸には感心する。…だがな。俺たちゃ別にお前らを殺したいワケじゃない。女である以上、メスとして本能のままにぶっ壊れていくところが見たいんだよ。女捜査官なんてお高く留まってる女なら尚更だ」
「くっ…こ、この外道…!人間のクズ…!救いようのないゴキブリども…!」
「あぁ、何とでも言え。そういう女ほど、壊れた時に人一倍そそる顔を見せてくれるんだからよ」
 と幹部は笑って、ノッポに向かって「よし、始めろ」という意味の顎しゃくり。
 それを受けて、棒立ちの沙耶香の後ろに回るノッポ。
 背後から手を回し、なおも沙耶香の眼前で二匹の蛇を見せつけながら、
「おい、小娘。さっきも言った通り、暗殺拳ともなりうるこの拳法…なぜ真ん中に『淫』という字が入っているか分かるか?」
「━━━」
「…正解はな。こういうことも出来るからなんだよ…♪」
 とノッポは不気味に微笑み、沙耶香の放り出された胸の膨らみに蛇の牙をあてがった。

 

「くっ…!さ、触んな…」
 と牽制する沙耶香を無視し、まずは右の膨らみにゆっくり食い込む牙。
 唇を噛む沙耶香の耳元で、
「人間の身体ってのは、いたるところに秘孔があってな…この蛇淫拳の便利なところは、それらの秘孔を指で突くよりさらに深く、しかも三点同時に突けるところだ。たとえば、ここ…」
 可愛らしい乳首を三角で囲うように牙を立てた爪。
「ここにある秘孔を、深く、三点同時に突くと…」

 がぶっ…!

「ぐっ…!」
 乳首を捕食するように右の乳房に食い込んだ牙の痛みに顔をしかめた沙耶香。
 しかし、次の瞬間…!
(…!?)
「んんっ…!あっ、んんっ…!んあぁっ…!?」
 突然、堰を切ったように一人で声を上げ始めた沙耶香。
(な、舐められてるっ…!乳首を舐められてるぅぅ…!)



 乳首舐め…ザラザラした舌が行き交う感触を確かに感じる。
 だが、おそるおそる自身の胸に目を向けても、何もされていない。
 それなのに、噛みついていた蛇が離れた後も、乳首を襲う刺激が延々と続く。
 誰も触れていない乳首に走る不気味な舌の感触。
 たまらず、
「んあぁっ…な、何これっ!何これぇぇっ!?」
 固められた脚をぷるぷる震わせて絶叫する沙耶香に、
「フフフ…言ったろ?人間の身体ってのは、いたるところに秘孔がある。当然、性感を刺激し、想像だけで快楽を得る秘孔もあるということだ。そして、それらの秘孔をあれこれ組み合わせ、道具もいらず、テクニックに自信がなくとも女を性拷問にかけることが出来る…それが、別名・女体狩り拳法、蛇淫拳の正しい使い方だ!」
 と豪語し、
「さぁ、次はどこの秘孔を突いてやろうか!処女を喪失する前から全身を開発し、初体験を自ら懇願するほど待ち遠しいものにしてやるぞ!」


 ここまでの辛勝も、すべて水の泡…。
 秘孔を突くことによって快楽を与える恐怖の拳法、蛇淫拳。
 四肢を封じられて続行不可能となった沙耶香の無垢な身体は、二匹の蛇の格好の餌食。
 中国四千年の歴史によって生まれた邪道の秘拳による女体拷問が、今まさに始まろうとしている…!


(つづく)

鰹のたたき(塩) ( 2022/03/23(水) 22:59 )