乃木坂抗争 ― 辱しめられた女たちの記録 ―





























































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<番外編>堕ちた女たちの流刑地 ━捜査官ソープ『N46』泡姫━
岩本蓮加の天罰 -プロローグ-
※ひめたんが柴崎に粛清される以前のお話です。

〜〜〜

「…うぅっ…」
 目が覚めると同時に、
「おはよう…♪目ぇ覚めた?」
 と関西訛りで聞かれる。
(…?)
 まだ目も虚ろなまま、ひとまず身体を起こそうとするも、手も足も動かない。
(え…?な、何で…?)
 何かがおかしい…もう一度、手足を揺すると、それに合わせてガチャガチャと鎖の音がして、そこでようやく自分が今、拘束されていることに気付く。
 そこに、
「可愛い寝顔してたなぁ?子供みたいな寝顔やから思わず見とれてしもたわ…♪」
 と再び関西訛りの声を浴びせられ、ぼやけてた視界が明らかになるにつれ、ようやく頭も冴えてきた彼女の名は岩本蓮加。



 そして、その蓮加の目の前で笑みを浮かべていたのは、なんと、このソープランドでナンバーワンに君臨する西野七瀬…!



 しっかり服を着たままの七瀬と、かたや、いつの間にか下着姿の蓮加。
 しかも今、蓮加がとらされている体勢は何とも恥ずかしい分娩台拘束だ。
 その構図を確認すると同時に、
(え、待って…何これ?…ねぇ、ちょっと待って!話が違うじゃんッ!)
 徐々に蓮加の顔に浮かぶ困惑と狼狽の色。
 対照的に七瀬の方はニヤリと笑みが浮かび、
「どうしたん?何を焦ってるん?」
「くっ…!くっ…!な、何これ…何で蓮加がこんなカッコ…!」
 慌てて手足をバタバタ動かすも頑丈な革バンドで手首、足首をしっかりと留められた蓮加は身動き不可能。
 そして、ふと隣を見ると、そこにはポツンと気まずそうに佇む与田祐希と、あられもない姿になった蓮加を哀れな目で見る催眠術士・中元日芽香の姿が…。
「ちょ、ちょっと…なに?どういうこと?」
 と戸惑う蓮加に対し、申し訳なさそうに、
「ごめん、蓮加…さすがに七瀬さんはダメだって言われて…」
 と口にする与田。
 そして、その言い訳を補足するように、困惑する蓮加の眼前にその美しい顔をグッと寄せ、囁く七瀬。

「ぜーんぶ聞いたで、蓮加…♪祐希と結託して、ナナのことハメようとしてたんやってなぁ…?」

(…!?)
 ギクッとして顔で固まる蓮加に対し、さらに、
「聞くところによると、日芽香さんの催眠術でナナのアソコにオチンチンつけて二人で嬲り物にしようとしてたらしいやん…ホンマ悪い子やなぁ?」
「ち、違いますっ!それは与田ちゃんが言ってたことで、蓮加はそんなことしちゃダメだよって…!」
「…って言うてるけど?どうなん?祐希…」
 と七瀬が廊下に立たされる生徒のように棒立ちの与田にじろりと目をやると、与田はすぐに首を振り、
「嘘です。めちゃくちゃ嘘ついてます。全部、蓮加の方から持ちかけてきました。私になすりつけようとしてます」
 と、まるで告げ口をする陰キャのようにまくし立てる与田。
「ちょ、ちょっとぉッ!」
 慌てふためき、
(ふ、ふざけんなし…!自分だって一緒になってノリノリで言ってたくせに…!裏切んなよ、与田ぁぁっ…!)
 と心の声で絶叫する蓮加。
 とはいえ、与田の言うことの方が概ね事実に沿っている。
 中田花奈ですっかり味を占め、次は長らくナンバーワンの座を譲らない西野七瀬を妬み、中田に続く二人目のふたなりペットにしてナンバーワンから陥落させてやろうと言い出したのは間違いなく蓮加だ。
 肩をすくめて眺める日芽香からも、
「残念だけど、蓮加ちゃん…花奈で味を占めたから次は七瀬って、それはさすがに調子に乗りすぎよ?」
 と嗜められるが、今さら言われてももう遅い。
 そりゃあ、七瀬だって売れっ子ともなれば多少は言動が横柄になることもあっただろう。…が、やはり、そんなガキの妬みで指名獲得数ナンバーワンの泡姫への造反は認められないというのが、ひそかに愛人関係を結ぶ与田と過ごした甘い夜の行為後、相談を持ちかけられたマネージャーの当然の判断。
 中田で上手くいったのは、彼女が二人のオモチャに成り下がったところでさして営業に支障がなかったからに過ぎず、それが次は七瀬となると店の経営にも大打撃だ。
 おかげで相談した与田自身もマネージャーからきつく叱られ、逆に蓮加のあまりにも分を弁えない増長が問題視された結果、こうしてまんまと逆ドッキリにかけられたというワケだ。
「ってことは…日芽香さんもグル…?」
 頬に冷や汗を垂らしながら、おそるおそる聞く蓮加に対し、七瀬はあっさり、
「そうやで」
 と頷き、
「マネージャーからアンタらの計画してたこと全部聞いたから、それを上手く利用させてもらったわ」
 と笑う。
「ウ、ウソ…」
 落胆と絶望に染まる蓮加の顔。
 全て筒抜けとも知らず、日芽香に来てもらい、そこに七瀬も呼び出しては終始ニヤニヤしていた蓮加。
 まず手始めに七瀬を眠らせる催眠をかけてもらう算段の筈が、

「今から私が3つ数えた後に目が合うと、あなたは急に睡魔に襲われ、そのままスッと眠ってしまう…行くよぉ?ひと〜つ…ふた〜つ…」

 そして最後の「みぃ〜っつ♪」と言う一瞬、日芽香は目の前の七瀬から急に視線を逸らし、後ろにいる蓮加の方を向いた。
 その視線とバッチリ目が合ってしまったが最後…流れ弾でまさか自分が眠らされてしまうとは…。
「くっ…くっ…」
 依然、虚しく手足を揺する蓮加だが、逃げられない。…いや、失敗に終わったとはいえ自身を陥れようと画策した不届き者を七瀬が逃がす筈がない。
 となると、恐れていた当然の展開が待っている…。

「さーて…良からぬことを考えつく生意気な後輩には二度とそんなこと思いつかんように今のうちにキツい罰を与えとかなアカンなぁ…♪」

 笑みを混じえた口調には蓮加だけでなく、隣で佇む与田にも戦慄が走る。
「じゃあ、日芽香さん。お願いします…♪」
「はーい。任せといて…♪」
 と、いつの間にかコンビネーション抜群になっている七瀬と日芽香。
 日芽香がスッと取り出し、掲げたのは、案の定、ペニスバンド…。



 それを身動きの取れない蓮加の腰に粛々と巻きつける日芽香に、
「い、嫌っ…!待って…ねぇ!待ってください、日芽香さぁんッ…!」
 どうなるかは千も承知、必死に懇願するも時すでに遅し…。
 それでも一度、情けなのか「本当にいいの?」という顔で七瀬を見る日芽香だが、当の七瀬は容赦なく、
「さっさとやっちゃってください」
 と食い気味で引導を渡す。
 やはりナンバーワンを手に掛けようとした代償は大きい。
 そして…。

「これから私が3つ数えると、あなたのその腰に巻くペニスバンドにも血が流れ、女性でありながら男性の感覚を味わうことが出来るようになる。射精は無限…決して萎えることのない勃起しっぱなしの絶倫チンポ…しかも、その感度は通常男性の二倍、三倍、四倍…さらにもっと、五倍、六倍…まだまだ上がり、七倍、八倍…なぞられただけでも感じる敏感チンポ…♪」

 中田の時にはニヤニヤしながら聞いていた淫語混じりの文言が死刑宣告に聞こえる。
「い、嫌っ…!嫌ぁぁぁっ!お願い、許してぇぇっ!」
 と、どうにか声量で日芽香の声をかき消そうとするも、無駄なあがき。
 その間にも着実にカウントを数えられ、運命が変わるスリーカウント終了…。
「じゃあ、あとは気が済むように…♪」
 と言い残して足早に帰っていく日芽香。
 その背中を見送り、ツカツカとヒールの足音が聞こえなくなったら、生意気な後輩への再教育…七瀬による私刑の始まりだ…!


(つづく)

鰹のたたき(塩) ( 2022/10/24(月) 23:05 )