エピローグ
「はぁ…はぁ…!」
息を切らして駆けつけた秋元真夏、渡辺みり愛、矢久保美緒の三人。
三人が三人とも、中でも特に真夏の表情には鬼気迫るものがあった。
現場は、夜明けとともにネオンが消え、カラスが目につき始めた繁華街の裏路地。
前日一夜ぶんのゴミ袋で埋め尽くされた狭い路地の奥で、伊藤純奈、鈴木絢音の二人が全裸で棄てられているのが発見されたのだ。
すぐに病院に搬送された二人。
幸い、二人とも命に別状はなく、強い睡眠薬を注入されて眠らされているだけだった。
半日の安静を挟み、夕方になってようやく話を聞ける状態になったが、話を聞き始めてすぐ、真夏は深い溜め息をついた。
二人とも言うことは同じで、昨晩、二人であの繁華街をパトロールしたところまでは覚えているが、その後、この病室で目覚めるまでの間の記憶がないというのだ。
(記憶を消された…?)
それ以外に考えようがない。
クスリか、洗脳か…それとも催眠による暗示か…。
とにかく、二人の記憶が戻らないと、空白の一夜の手がかりは得られない。
二人がどこにいたのか?
二人が何をされたのか?
そして、二人が何を見たのかも…。
(つづく)