5.羞恥の都心ループ線 ━はじまり━
「━━━」
手渡された小袋の中身に絶句する眞衣に対し、
「ほら、早く出せよ」
と促す柴ア。
おそるおそる取り出したのは鮮やかなピンク一色のボディコン衣装。
広げてみると、長身の眞衣に対して、明らかに丈も短い。
それも構わずに、
「さぁ、早速それに着替えてもらおうか」
と要求する柴ア。
「くっ…!」
悪趣味な要求にキッとした眼を向ける眞衣。
だが、その視界に和也の姿がちらつくと、
(さ、逆らうと和也が…!)
という不安に襲われ、観念して着替え始める。
(き、きつい…!)
思った通り、細身の眞衣ですら少し窮屈という無茶なサイズ。
生地を目一杯に伸ばして何とか着たものの、ふと部屋の鏡に目をやり、着替えた自身の姿を見ただけで火を噴くほどに顔を赤らめる眞衣。
それもその筈。
普段、絶対に着ることのない大胆な肩出し。
パツパツに張った衣装はボディラインがしっかりと強調され、特に胸元はその意外な巨乳の質感がそのまま露わになっているような感覚だった。
さらに、よく目を凝らすと、興奮して膨らんだ乳首も見事に浮き上がっているではないか。
そして極めつけはお尻。
生地が貼り付くほどパツパツな上、丈が短すぎて、少しでも屈めば、お尻の肉が飛び出してしまいそうだ。
「フフフ…いいぞ。素晴らしいスタイルだ」
と嘲笑う柴アは、さらに、
「では、パンツを脱いでもらおうか」
と命じた。
「━━━」
逆らえない状況の中、言いなりとなってスルスルとパンティを下ろし、脱ぎ捨てる眞衣。
それを見るや、一目散にパンティを拾い、内側を確認する下品な男たち。
「へへへ…ほら、見ろよ」
男の一人が、股間部分に広がったシミに指先を擦りつけ、糸を引かせて見せて、
「なんて粘っこいマン汁だ。恋人の生チンポ見ながらするオナニーが、そんなに気持ち良かったのか?このスケベ女!」
「や、やめてよ…!」
と言うのが精一杯の眞衣。
知らないうちに吸引した媚薬ミスト、そして羞恥心を削りながらもオンナのスイッチを入れるには充分だった公開オナニー。
完全に感度が高まった身体は、男たちの下卑た視線を浴びるだけでも、むず痒くなる。
特に、胸、そして股ぐら…。
その窮屈な衣装による乳首の衣擦れ、股を抜ける風すらもほんのりと快楽を生む。
そんなモジモジする眞衣の姿に、
「たまんねーな、おい」
「押し倒して抱きまくりてぇよ…!」
と率直な感想を漏らす男たち。
一人の男が不気味な笑みを浮かべたまま、
「へへへ…おら!」
「きゃっ…!」
ふいに裾を捲られ、声を上げる眞衣。
丈が限界のボディコン衣装は、少しでも捲れると、このようにお尻が、そして恥ずかしい陰毛までもが見えてしまう。
「━━━」
無言で慌てて衣装の裾を戻す眞衣。
「ぎゃははは!今、完全に見えてたぞ!綺麗に生え揃ったマン毛がよぉっ!」
下品きわまりない野次で一気に紅潮する顔面。
何とかお尻と大事な部分は隠したものの、生地の限界によって、そのスラリとした長い脚は丸出しだ。
そんな眞衣に、柴アがミッションを与える。
「よし。そのカッコで今からちょっと山手線を一周してきてもらおうか!」
(…!?)
思わず耳を疑う眞衣だが、柴アは言葉を続け、
「逃げ出さずに帰ってこれたら彼氏は解放するし、この高級スイートルームもくれてやる。ここで夜景でも見ながら彼氏と気が済むまでヤリまくればいいさ」
「━━━」
茫然とする眞衣。
(外に出ろっていうの…?こ、こんなカッコで…?)
やけに目立つピンク色、しかもノーブラにノーパン…。
「で、できない…!そんなこと…!」
と青ざめた顔で首を振る眞衣。
「ほぅ…いいのか?断っても…?」
和也の背後に立つ男がぶんぶんと腕を回し、絞め殺す準備を始める。
「目隠しで何も見えないまま、突然、背後から絞め殺される…殺られる側にとっては苦痛でしかないな。だが、貴様が恥を捨てきれないというのなら、可哀想だが…」
「…ま、待って!」
「…何だ?」
「…い、行くから…言う通りにするから…和也の命だけは…」
目の前の敵に恋人の代わりに命乞い…。
捜査官として、いや、眞衣の人生最大の屈辱の瞬間。
「フフフ…そうだ。それでいい」
と、柴アは笑みを浮かべると、手の平に乗せた遠隔イヤホンを眞衣に差し出した。
「これをつけて行ってくるんだ。もし無視したら…分かってるな?」
逆らえずに頷き、そのイヤホンを受け取る眞衣。
長い髪をかきあげ、耳に装着する。
再び髪を下ろせば隠れて分からない。
「さぁ、行け!世の男とはいったいどんな生き物かを知る良い体験になるぞ!」
と言って送り出す柴ア。
眞衣の、羞恥との戦いが始まる…!
(つづく)