乃木坂抗争 ― 辱しめられた女たちの記録 ―




























































小説トップ
★第三部と第四部の間の短篇集★
復活、そして次なるステージへ…
 目深く被った帽子に奇跡的な小顔の下半分を覆い尽くすマスク。
 もはや目しか出ていないというぐらいに顔を隠して、飛鳥は、足早に店内に消えた。
 妙な気分だった。
(何で、私、こんなところに来てるんだろう…?)
 性犯罪撲滅組織の捜査官ともあろう者が、なぜ、ソープランドに…しかも、自ら…。
 まるで、誰か別の人に操縦されて歩いているような感覚だった。
 そんな、ふわふわした状態で奥に通された飛鳥。
 そこでマネージャーと名乗る男に会った。
「ノウジョウさんね」
 マネージャーは、後ろめたさゆえ、咄嗟に知人の名前を騙って偽名を名乗るという飛鳥の小芝居に付き合ってやるように架空の名をそのまま呼び、
「じゃあ、早速、やり方を教えていくから、脱いで」
 と言った。
「え…?じ、自分で…?」
「当たり前でしょ。裸じゃないと出来ないから」
「わ、分かりました…」
 込み上げる恥ずかしさを期待の二文字で押し殺し、一枚ずつ服を脱いでいく飛鳥。
 色白で華奢な身体、膨らみ程度の胸。
 そして、先日の凌辱で無理やり毛を剃られ、無毛にされた股間。
 少し時間が経ち、ようやく産毛が生えてきた程度だが、それでも遠目に見れば、まだ肌色一色だ。
 同時に帽子とマスクも取っ払うと、マネージャーはニヤリと笑って、
「可愛いね。ウチの常連さんにも好かれそうだ」
 と言いながら、自分も服を脱ぎ始める。
 屈強な男の裸体が現れると、飛鳥は顔を真っ赤にして俯いた。
 自慰に溺れて以降、オカズとしてアダルト動画はよく見ていたが、実際に男の身体を見るのは“あの日”以来。
 チラチラと股間に目をやるが、まだ男のイチモツは臨戦態勢には程遠く、毛むくじゃらの毛の中にちょこんと生えているだけだった。
 そんな盗み見の目線には構わず、
「じゃあ、まず、お客さんの身体の洗い方からだけど…」
 とレクチャーを始めるが、あまり熱が入っているようには聞こえなかった。
 まるで「こんなのはイチから教えなくても誰でも出来る。雰囲気でやれ」と言いたげな態度。
 急に口調に熱が入り始めたのは、泡立てたボディーソープを身体につけ、男の背中に擦り付けるやり方に差し掛かった時だ。
「まず、こうやって…」
 と、いたって自然に、手にとった泡を飛鳥の身体に塗りつけるマネージャー。
「んっ…!」
 ごつごつした指に、泡の滑りを利用しながら撫で回され、小さく声を上げる飛鳥。
 膨らみ程度の胸を、むにゅむにゅと揉まれ、その先端に泡の塊を乗せられる。
「ふあぁっ…!?」
 綿のような柔らかさで乳首を覆われ、声を上げる飛鳥だが、男は気にも留めず、
「よし。その状態で僕の後ろに回って」
 と指示し、
「その泡を塗り広げるように僕の背中に身体を擦りつけて」
「は、はい…」
 言われた通り、浅黒い背中に、その華奢な白い身体を押しつけて、ゆっくり揺する飛鳥。
「んんっ…!」
 乳首に乗せた泡の塊は瞬く間に男の背中に溶け、スムーズな泡の滑りによって肌同士の摩擦が始まる。
「あっ、あっ…!」
(ち、乳首…!乳首とおっぱいが擦れて…き、気持ちいい…!)
 普段のオナニーでは得られない新たな快感に、早くも没頭する飛鳥。
 本能のままに、細い脚を下品に曲げ、がに股で胸を押しつけるようにして男の背中を洗う。
「いいよ、その調子だ。…よし、次は前に来て」
 とマネージャーは命じ、
「次は僕の太ももの上に乗って、同じように動いて」
 と言った。
 頷いてマネージャーの前に回った時、飛鳥は、思わず目を奪われた。
 再び見たマネージャーの股間が、数分前とは別物、すっかり臨戦態勢になっていたからだ。
 まるで、あの日、飛鳥の“初めて”を奪い、身体の奥に快楽の種を植えつけていったものと瓜二つ…。
(こ、これを挿れたら…また、あの時みたいに…気持ちよく…)
 また一段と、顔が赤くなる飛鳥だが、
「…どうしたの?ほら」
 とマネージャーに言われ、すぐ我に返る。
(ダ、ダメ…!まだ欲を出しちゃダメ…!いくらなんでも早すぎる…!)
 それを求めてはいるものの、それを悟られるのは嫌…。
 偽名を使ったところも含め、そういう斜に構えた妙なプライドだけは、まだ残っているようだ。
「さぁ、次は自分で泡をつけて」
 と言われ、足元の洗面器から掬った泡を全身に塗り、マネージャーの太腿の上に跨がって動く飛鳥。
「んあぁっ…!あぁっ…!」
(あ、当たってる…乳首同士が…!そ、それに…アソコも…!)
 内ももに、二度、三度と触れる男の竿。
 その固さに、あの日の記憶を残像で見ながら、夢中で身体を揺すり、自ら股を押しつける。
 ふいにマネージャーの唇が、飛鳥の小さな口を塞いだ。
「んむぅぅ…!」
「この時、こうしてたまにキスをしてくるお客さんがいるから、その時は笑顔で応じるように」
 とマネージャーは言って、ベロベロと飛鳥の口周り、そして顎のラインから首筋にまで舌を這わせてくる。
「んっ、んひゃぁぁっ…!」
 くすぐったさに声を上げ、仰け反る飛鳥。
 その身体をぐっと抱き締め、勢いをつけるように密着する飛鳥をさらに上下に揺するマネージャー。
「あぁっ!ダ、ダメ…!擦れるっ!ひぃぃっ…!」
 貧乳の先にツンと突き出した乳首が、滑りをまとってマネージャーの胸板の上で転がり、思わず絶叫する飛鳥。
「ほぅ…すごいねぇ、敏感なんだねぇ」
 ニヤリと笑みを浮かべ、感心したように言うマネージャー。
 正確には、
(やはり柴崎さんの言った通りだ。快楽を求めて来ただけに、火がつくのが早い…!)
 という感心の笑みだ。
 そんな飛鳥に、さらに追い打ちをかけるべく、マネージャーは、細い腰から、ぷりっとしたお尻伝いに飛鳥の股に指を添えた。
「あんっ…!」
 上ずった可愛らしい声で鳴いた飛鳥に対し、マネージャーは、
「興奮して、こんなことをしてくるお客さんもいるからね〜、覚えておいてね〜」
 と都合のいいことを言って、飛鳥の割れ目をなぞると、
「んあぁっ!?はぁっ!んっ、あっ、あぁっ!」
「ほら、舌っ!」
 と、舌を出させ、キスを続けさせると、
「んっ、んっ、んっ…!」
 と、小さな舌を必死に絡ませ、吐息を吹いてくる飛鳥。
(ヤ、ヤバい…!やっぱり、人に触られる方が…一人でするより…断然、気持ちいい…!)
「あーあー…もうこんなに…」
 マネージャーは、どろどろと溢れ出てくる飛鳥の愛液を指先に絡めると、
「覗いてごらん」
 と下を向かせ、その視線の先でわざと指を離して糸を引かせて見せ、さらに、それを二度、三度と繰り返す。
「や、やだっ…!」
 またさらに顔を赤らめる飛鳥。
 小さな顔は、もはや火傷でもしたように真っ赤っ赤だ。
「これだけ濡れてれば、もう簡単に…」
「…んひゃぁぁっ!?」
 突き挿され、グリグリと潜っていくマネージャーの中指。
 華奢がゆえの膣の狭さは、たっぷり分泌した濃厚な愛液でカバーする。
「ひ、ひゃぁっ!ダ、ダメ…!す、すごいよぉっ…!」
 思わずマネージャーの首を手を回し、自ら腰を沈めるようにして指マンを堪能する飛鳥。
「これはこれは…とんだスケベ女だね」
 と吐き捨てられる嘲笑の言葉すら、もはや快感。
「パッと見はSっぽいけど、こういう時はMなのかな?」
 と本性まで見抜かれ、
「仕方ない。ここで一回、イカせておくか」
 と、挿入した指を中で「く」の字に曲げられ、膣内を掻き回される飛鳥。
「んあぁっ!?ダ、ダメぇっ…イクっ!イクぅぅっ…!」
 あっけなく絶頂へと押し上げられ、マネージャーの腕の中で躍る飛鳥。
 抱き締めるマネージャーの左手が緩むと、そのまま力無くタイルの上に崩れ落ちた。
「はぁ…はぁ…!」
(き、気持ちいい…気持ちよすぎ…る…!)
 そして、そんな虚ろな目で余韻を味わう飛鳥に対し、マネージャーは淡々と、
「じゃあ、次はお風呂ね。さぁ、立って」
 と声をかけ、白く細い腕を引っ張り上げるようにして飛鳥を立たせ、バスタブへといざなった。


(つづく)

鰹のたたき(塩) ( 2020/10/13(火) 23:53 )