乃木坂抗争 ― 辱しめられた女たちの記録 ―





























































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第三部 第七章・二人の女王様 ―ダブルインパクト― (橋本奈々未、伊藤万理華)
橋本奈々未サイド―2.責められる女王
 男たちの指が好き放題に身体を這う。
 まるで触ってくれと言わんばかりに、両手を吊られ、そのスラリとしたスタイルを見せつけているのだから、当然といえば当然だ。
「くっ…さ、触るなっ!この変態ども…!」
 と言葉で牽制する奈々未だが、男たちの手は止まらないし、目隠しのせいでどこから手が伸びてくるか分からない。
「さぁ、女王様」
 リーダーは、なおもおどけた口調を続け、
「我々が愛撫をしやすいように、まず、その邪魔な服を、全部、脱いでいただきましょうかねぇ」
「くっ…!」
 早速、三人がかりで脱がせにかかる男たち。
 多勢に無勢、為す術もなく下着姿にされ、その下着すら、ゆっくりと脱がされていく。
「おぉ、これは素晴らしい!」
「美ボディってのは、こういうのを言うんだろうなぁ」
「これはたまんねぇ…!」
「み、見るなっ…!」
 目隠し越しでも、まじまじと眺める男たちのいやらしい視線を感じる。
 色白でスレンダー、ほどよく鍛えられて筋肉のついた長い手足と腹筋、それを証明する引き締まったくびれ、決して大きくはないが均整のとれた胸の膨らみとピンク色の突起、ぷりっとした尻肉、そして綺麗に生え揃ったエロティックな陰毛…。
 それら全てを、今、見ず知らずの男の前で晒す。
「こいつが当時はボンテージ着て女王様をやってたんだろ?」
「そりゃ、人気が出るぜ。俺だっていじめられてぇよ。俺のチンコ、その長い脚でグリグリ踏んづけてもらえねぇかなぁ?」
「俺は手コキ希望だ。唾をたくさん垂らして、見下されながらシコシコしてほしいよ」
「なぁ?そういうこともやってたんだよなぁ?昔は」
「何なら、今、この場で、もう一度やってくれてもいいんだぜ?」
「だ、黙れ…お前ら…!」
 付き合いの長い白石や深川も知らない、自分だけの秘密にしていた過去を容赦なくほじくられ、思わず心拍数が上がる奈々未。
「さぁ、女王様。その美しい裸体を見せてもらったところで、まずはお手並み拝見といきましょうか!」
 というリーダーの声とともに、ふいに耳たぶに何かが触れた。
 柔らかな毛先…その正体がハケだと気づくのに、そう時間はかからなかった。
 そして、ブゥゥゥゥンという振動音…これはローターだ。
「━━━」
 奈々未が何かを察して黙っていると、リーダーは笑って、
「へへへ。気づいたか?…そうだよ。お前が当時、M男を責めるのに使っていたアイテムだ。まずはハケとローターでじわじわと責めて感度を高めさせる…だろ?ちゃんとリサーチしてきたんだ」
「くっ…」
「さぁ、女王様!まさか日頃やってたことを自分がやられて簡単に感じるワケにはいかねぇよなぁ?」
「示しがつかなくなるぞ?」
「しっかり耐えて女王様の面目を保たねぇとなぁ?へへへ!」
 と笑う男たちが、一斉に奈々未の身体を嬲りにかかる。
 ハケの毛先が胸の膨らみをなぞり、その先端を浮遊するローターがつけ狙う。
「くっ…うっ!」
 胸を這うハケがくすぐったくて少し身体を揺すった拍子に、ローターが乳首をかすめた。
(う、動いてはいけない…!ロ、ローターに当たる…!)
 と、すぐに学習し、なるべく身体を揺すらないようにするが、それはそれで、ハケの毛先が生み出す絶妙なくすぐったさが厄介だ。
 口を真一文字に縛り、平常心を保つ奈々未。
「ほぅ…さすが女王様。じゃあ、これはどうだ?」
 二本のハケが標的を変え、乳首を狙う。
「んっ、くっ…!」
 少し口が緩む奈々未。
「へへへ。こうして乳首が固くなるまでハケで責め…そして次はこうだろ?お前がやってたのは」
「んんっ…!」
 そのハケの柄に押しつけられるローター。
 ローターの振動がプラスされ、ただのハケが“小刻みに震えるハケ”となって奈々未の乳首を責める。
(ど、どうやら…北海道まで行ってリサーチをしたのは本当らしい…!)
 男たちは、奈々未自身の過去の行いを忠実に再現して仕掛けてくる。
 目隠しがなければ身構えることが出来るが、視界を奪われたことで、それが出来ず、常に不意打ちのような状態で責め苦を受け続けなければならない。
 震える毛先が奈々未の乳首を包み込み、そして撫でる。
「んっ…んっ…」
 所々、息を乱しながら身体を揺すると、ふいに頬にペチペチと男の手の平が当たった。
「へへへ。昔は、ここで『ビクビク反応してんじゃないわよ、気持ち悪い!』って言って男が反応するたびにビンタを打つらしいじゃねぇか」
「━━━」
「それも忠実に再現したいところだが、こう見えて、俺たち、女に暴力を振るうのは気が引けるんだ。…だからよぉ」
(…!!)
「んんっ…!!嫌っ…!」
 突然、リーダーの舌が奈々未の唇を覆い、そのままベロベロと舐め回した。
 慌てて唇を閉ざし、口内への侵入は免れたものの、奈々未の唇を乱暴に舐め回すリーダー。
 その舌が離れると同時に、
(こ、こいつ…雑魚の分際で、よくも私の唇を…!)
 と、そのプライドの高さゆえ、湧き上がる不快感で憤る奈々未。
 奈々未の唇を自身の唾液まみれにして満足そうなリーダーは、
「へへへ。分かったか?俺は、ビンタのかわりに、こうやって唇を奪ってやる。感じすぎて唇がふやけないように気をつけるんだな」
 と笑って、
「さぁ、続けようか」
「くっ…んんっ、や、やめろ…お前ら…!」
 と制する奈々未を無視し、乳輪をじっくり、ねっとりとなぞるハケ。
 ふいに、乳房の上に何かが垂らされた。
(ローション…!)
 自身の過去の記憶から推察する。
 この後、当時の奈々未はM男の胸板をローションまみれにして、なおもハケで乳首を嬲った。
 そして今、男たちはそれを踏襲するように奈々未の乳房をローションまみれにして、テカる乳首にハケをあてがう。
「さぁ、次は潤滑油付きだぞ?」
「当時、お前がニヤニヤしながらいたぶったM男どもと同じ目に遭わされる感想はどうだ?」
「んんっ…あっ…くぅっ!」
 漏れる吐息の後、間髪いれずにリーダーから一方的な強制ベロチュー。
 唇をねぶられる間も、ハケは絶妙なタッチで奈々未の乳首をいたぶる。
 不本意ながら徐々に肥大し、硬化する乳首。
 そして勃起したらしたで次はその勃った乳首の周囲を入念になぞり、ぞくぞくする刺激を絶え間なく与えてくる男たち。
(く、くそっ…!コイツら、好き放題しやがって…)
「どうだ?やめてほしいか?」
「やめてほしかったら…どうする?何て言わせようか?」
「そうだなぁ…表の甲板に引っ張り出して、『私、橋本奈々未は実はドMの変態女です!』って水平線に向かって絶叫してもらうってのはどうだ?」
「なるほど、それはいい!女王様にとっては屈辱のセリフだ。まさに“屈服”という言葉にふさわしい!」
「よし、決まりだ!」
「さぁ、楽しみだ。必ず言わせてやるぜ!」
 と勝手に盛り上がる男たち。
 一方、それを聞き、額に脂汗を垂らしながら戦々恐々とする奈々未。
(わ、私がドM…?じょ、冗談じゃない…!そんなセリフ、口が裂けても言うものか…!)
 ほんの一時期とはいえ、地元・北海道の某クラブで「女王様」として君臨した自他ともに認めるS気質の奈々未。
 そんな奈々未がドM堕ちなど絶対にありえないし、あってはならない。…あってはならないのだ、絶対に。
(ま、負けない…私は絶対に、こんな雑魚どもに責められて堕ちたりはしない…!)
 奈々未の意地が、男たちに牙をむく。
 果たして、その牙で男たちを震え上がらせ、退かせることが出来るのか?
 それとも、その牙を無惨に折られ、プライドを砕かれて屈してしまうのか?
 戦いの火蓋は、まだ切られたばかりだ。

鰹のたたき(塩) ( 2020/05/26(火) 15:38 )