乃木坂抗争 ― 辱しめられた女たちの記録 ―




























































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第三部 第三章・北野日奈子の場合
2.女殺油地獄 オイル塗布編
 運ばれてきた淫具を品定めするクイーン。
「まずは、やっぱり、これかしら」
 と手に取ったのは、筆だった。
 クイーンは日奈子に噛ませたボールギャグを外し、
「さぁ、可愛く悶える声を皆さんに聞かせてあげなさい」
 と言い、筆先を、日奈子の耳、首筋、二の腕、背筋へと這わせていく。
「んっ…!や、やめてっ…!くすぐったいっ!」
 筆先から逃げるように身体を揺する日奈子だが、拘束されているせいで動ける範囲が限られていて、すぐに追いつかれてしまう。
「んひぃっ!」
 腋の下を狙ってきた筆に、思わず声を上げてしまう日奈子。
 キレイな腋を捉え、汗腺を丁寧になぞるように刺激されるたび、額にはみるみる脂汗が浮かんだ。
 あまりのくすぐったさに、大事なところを出来るだけ隠そうと内股にした太ももをズリズリと擦り合わせて悶える。
「ふふっ、辛そうね?」
「う、うるさいっ…くぅっ、やぁっ…!」
 手を吊られているので腋を締めることが出来ない。
 追い払おうと身体を揺するたびに胸が弾み、その遠心力によって先端の乳首も、あっちむいてホイをしているように上下左右へと向きを変える。
 ギャラリーの視線がそこに向けられていることは日奈子自身も手に取るように分かった。
(だ、黙って見てないで誰か助けてよっ…!)
 と思ったが、それは無理な話だ。
 クイーンの操る筆は、ようやく腋を離れた。が、そうなると次に狙われるのは、当然…。
「あんっ…!」
 筆先が、激しく暴れる乳首をかすめる。
 柔らかな毛並みの擦れた感触に、つい甘い声を出してしまう日奈子。
 それを聞き逃さなかったギャラリーから、
「アハハ、可愛い〜!」
「聞いた?『あんっ…!』だって」
「今の声、もっと聞かせて〜!」
 と歓声が上がる。
 耳元に近づくクイーンの仮面。
「ほら、お客様が、今の声、もっと聞きたいんだってさ」
 次の標的として狙い打ちに遭う乳首。
「んっ、あっ…や、やめてよぉ…」
 吐息まじりに拒絶の声を上げる日奈子だが、語調が弱い。
 それよりも声を抑えることの方で精一杯のようだ。
 クイーンは巧みな筆捌きで、乳輪をなぞるように這わせたり、膨らみかけた乳首を毛先でかすめたり、核心をつかない微弱な刺激を送り続ける。
 そのじれったさがもどかしい。
 歯を食い縛り、脂汗を滴らせながら耐える日奈子。
 その表情を見てクイーンは満足そうに、
「たまらないわ、その顔。これから、もっともっと追い込んであげる」
 と笑い、筆を置いた。
(お、終わった…?)
 と、日奈子は少しホッとした表情をしているが、そんなワケがない。
 クイーンはワゴンの上に湯呑みのような容器を二つ用意すると、その中にローションを注いだ。
 そして、日奈子には背を向けた状態で、そこへひそかにスポイトで非合法ドラッグ『HMR』の原液を3滴ほど落とす。
 捜査官の面々が問題視し、何とか押収しようと躍起になる女殺しの媚薬は、花田組の配下にあるこのクラブにも横流しされ、ショーのアクセントとして利用されていた。
 クイーンは、慣れた手つきで、筆を使ってローションと『HMR』を、まるで卵でも溶くようにかき混ぜる。
 水溶性の高さを特徴とする『HMR』は瞬く間にローションと混ざり合い、強力媚薬オイルが完成した。
 そしてクイーンは、再び、ギャラリーの中から希望者を募り、次は二人の女を指名して舞台に上げた。
 その二人に容器と筆を配っていくクイーン。
「さぁ、全身に、たっぷり塗ってあげてちょうだい」
 クイーンの言葉で、女たちは、早速、筆先にローションをつけ、夢中で日奈子の身体に筆を這わせた。
「んっ、くっ…!」
 ひんやりとした潤滑油が糸を引きながら身体に塗られていく。 
「いいなぁ〜!」
「私もやりたかったぁ〜!」
 ギャラリーからの羨望の眼差しの中、二人の女は、巧みに筆を動かし、全身くまなくローションを塗り広げていく。
「や、やめてっ!いいかげんにしてよっ!」
 怒鳴る日奈子だが、女たちは意に介さず、筆を動かす。
 豊満な乳房はもちろん、首筋、腋、二の腕、鎖骨、背中、脇腹と、上半身を徹底的に塗っていく。
 ふいに、背後に回ったクイーンがローションまみれになった日奈子の胸を搾るように握った。
「んんっ!」
 突然の刺激に呻くような声を上げる日奈子。
 クイーンは、日奈子の背後に貼り付き、膝カックンをするような体勢で日奈子の身体を前に押し出すと、さらに乳首を強調するように乳房を持ち上げて、
「さぁ、ここにもたっぷり塗ってあげてくださいな」
 と言った。
 指示通りに、左右の乳首をこねくり回す筆先。
「んんっ、あんっ!」
 つい、甘い声を上げてしまう日奈子。
 筆先がローションで湿っているせいで、さっきとは感触が違う。
「や、やだぁ…んあぁっ!」
 髪を振り乱す日奈子。
 その反応を面白がり、筆に含ませるローションをさらに増やしては塗りたくる女たち。
 その様を眺めるギャラリーも、日奈子の喘ぎ声の声量が増したことでドッと湧いた。
 すっかりローションまみれになった乳首はすっかり固くなり、指で挟めば摘まめるほどだ。
「顔に似合わず大きい乳首ね。吸ってくださいと言ってるようなものだわ。…まぁ、お楽しみは後でゆっくりと、ね」
 というクイーンの一言が妙に不気味だった。 
 そして客を変え、次は下半身だ。
 クイーンは内股をずっと続けている日奈子の脚を小突いて、
「ほら、脚を開きなさい」
「いやっ…!絶対に嫌っ!」
「まったく、聞き分けが悪いわねぇ…」
 クイーンは肩をすくめると、足首用の拘束具を持ち出し、それを日奈子の左右の足首に取り付けた。
 それにロープをつけて引っ張ると強制的に開かれていく日奈子の脚。
(…!!)
「いやぁっ!やだぁぁっ!」
 と抵抗する日奈子だが、引っ張られる力に耐えきれず、結局、生まれたままの姿での開脚を披露させられてしまった。
 目一杯まで引っ張った先でロープを固定するクイーン。
 衆人環視、それも同性の前で屈辱のX字拘束。
 隠すものを失くした日奈子の股間が露わとなり、綺麗に処理された陰毛が靡いている。
「さぁ、下半身にもたっぷりと、特にこのあたりには入念に塗ってあげてくださいな」
 と、クイーンは、その可愛らしい陰毛を撫でながら言った。
 再び筆が迫る。
 最初は腰回りや下腹部、へそ、尻などをローションまみれにし、大事なところは飛ばして、太ももへと飛ぶ筆先。
 ほどよく肉の乗った太もも、膝、ふくらはぎ、さらには脚の指の間まで丹念に塗り広げられ、光沢を纏う白い脚。
「アハハ、ぴくぴく反応してる!可愛い〜!」
 と楽しそうな女と、黙々と筆を動かす女。
 対照的な二人の女の手によって、容器の中のローションがみるみる消費されていく。
 そして、いよいよ本題とばかりに股間を目指して筆が迫る。
「そ、そこはダメ…!やぁっ!やめてぇ!」
 と叫ぶ日奈子。
 女たちが操る筆が、陰毛の中へと埋まり、まずは恥丘から光らせていく。
 生え際から全体的、少し剃り痕の残る端の方まで、塗り残しのないように入念だ。
 そして、いよいよ残すは性器、そして尻穴のみとなった。
「塗りやすくして差し上げますわ」
 クイーンが、日奈子の秘部へと手を伸ばし、控えめな大陰唇をぱっくりと開く。
「ダメぇ!ダメだってばぁっ!…んあぁっ!」
 ついに剥き出しの秘肉に触れる筆。
 ヌメヌメとした甘い刺激が全身を走り抜ける。
「ねぇ?もしかして気持ちいいの?」
 筆を操る女が、日奈子の悶絶する表情を見上げ、意地悪な顔をして聞く。
「…そ、そんなワケないでしょっ!」
 慌てて否定する日奈子だが、女の筆が膣口や陰核をかすめると、また、
「んあぁぁっ…!」
 と声を上げてしまう。
 一方、もう一人の黙々と塗る女は、いつのまにか背後に回り、きゅっと閉じた尻穴を捉える。
「あっ、ちょっ…ダメ…そこは…!」
 生まれて初めて他人に弄られる尻穴。
 そのむず痒い刺激に顔を紅潮させる日奈子。
(そ、そこは恥ずかしいよぉ…)
 もちろん胸や陰部も恥ずかしいのだが、お尻の穴は、また違った恥ずかしさがあった。
 その後も細部まで、花弁のひだの隙間や尻穴の皺の一本一本にまで這わされた筆先。
 二人に配った容器はローションが底をつき、もうカラッポだ。
 舞台上、拘束されて艶かしく光る日奈子の身体。
「さぁ、どんどん行きましょう!皆さま、この娘のいやらしく狂っていく姿をとくとご覧あれ!」
 饒舌なクイーン。
 全身を舐め回すように見つめてくる大勢の視線に顔を背ける日奈子は、そのローションが今に熱を持ち始め、これから自身の性感をみるみる高めていくことに、まだ気付かない…。

鰹のたたき(塩) ( 2020/03/08(日) 13:31 )