乃木坂抗争 ― 辱しめられた女たちの記録 ―




























































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第二部 第七章・生田絵梨花と久保史緒里の場合
8.地獄の中継
 玲香は激怒した。
 突然かかってきた部下の久保史緒里からのテレビ電話。
 てっきり、何か捜査に関する進展の報告だと思ったが、応対した瞬間、玲香の顔は硬直した。
 そこに映ったのは史緒里と、かつての盟友である生田絵梨花が二人して裸になり、あの憎き鮫島のものを口に含んでいる地獄絵図だったからだ。
 被写体の中に史緒里がいるということは、誰か別の人間が史緒里の携帯電話を奪って操作しているのだ。
(衛藤美彩…!)
 画の中に鮫島の姿もあることから、玲香は、いまや彼の侍女のような存在となった衛藤の仕業だと推察した。
 そのテレビ電話は、こちらが電話口で何を呼びかけても返りが無いし、逆に、向こうからも何も問いかけは聞こえず、ただ、その場で行われていることが生中継のように映し出されるのみだった。
 男性器を口に含む卑猥な音、そして二人の喘ぎ声が延々とスピーカーから響く。
 玲香は堪らず、
「真夏っ!」
 と叫んで秋元真夏を呼び、大至急、突入部隊を編成するように言った。
「で、でも、人員が…!」
 真夏の言う通り、齋藤飛鳥、与田祐希、堀未央奈、中田花奈など、かつての主力メンバーのほとんどが今回の抗争に巻き込まれて離脱を余儀なくされたため、経験豊富な捜査員が少なくなっていた。
 だが、それに対しても玲香は一刻を争うという様相で、
「訓練生でも何でもいいから、とにかく集めて!」
 と指示した。
 同時に、頭脳明晰な山崎怜奈を呼び、まだ繋がったままの携帯電話を手渡し、
「電波を受信した相手の位置情報を特定して!大至急!」
 と命じた。
 山崎も、受け取った際に、一瞬、画面を見てしまい、思わず、
「きゃっ…!」
 と声を上げ、慌てて裏向けにして、そのままコンピューターの方へと走っていった。
 その間にも玲香は急いで上司の今野本部長に経過を説明し、相手の位置情報が分かり次第、そこへ部隊を組んで突入する旨と、その際の拳銃の発砲許可を取った。
「発砲が必要な状況なのか?」
「分かりません。ただ、私は、その覚悟で向かうつもりです」
 と玲香は言った。
 許可が下りて部屋に戻ると、山崎が、
「玲香さん!分かりました!」
 と声を上げた。
「どこ?」
「成田空港の近くです。ただ、正確な情報を得るには、もう少し時間が…」
(成田…!)
 ここからだと、どれだけ車を飛ばしても一時間はかかる。
「とにかく私たちはすぐに向かうから詳しいことが分かったら追って連絡して!」
 と玲香は捲し立てるように叫び、傍にいた樋口日奈や岩本蓮加には、
「拳銃携帯!すぐに用意して!」
 と怒鳴るように言った。

 ……

 一方。
 その痴態が本部に向けて発信されているとは気付かず、本能のまま、行為に夢中の生田と史緒里の二人。
 鮫島は、史緒里に脚を開いて立つように命令し、立たせたその股の間に指を挿入して濡れた膣内を弄った。
「んあぁっ…!」
 思わず鮫島の肩に手をつき、それで身体を支えながら悶える史緒里。
 さらに生田には、ひざまづいて、その自慢の胸でイチモツを挟むように言った。
「し、したことないよぉ…」
 と言いつつも、知識だけでそれを実践する生田。
 汗で濡れた柔らかな肉の感触が鮫島のものを包み込み、そのまま、ズリュッ、ズリュッと音を立てて弾む。
 その心地よい刺激を愉しみながら、鮫島は、史緒里の膣への愛撫を続ける。
「あぁぁぁっ!ダ、ダメェっ!」
 鮫島の肩に重心をかけ、膝をガクガクさせながら泣き声のような声を上げる史緒里。
 その激しい指の出し挿れに、史緒里の秘部からはグチュグチュと、溢れ出た愛液が奏でる卑猥な音が響く。
「ダ、ダメっ!出ちゃう!出ちゃうからぁぁ!」
 史緒里の絶叫とともに周囲に飛び散った潮は、その眼下で慣れないパイズリに励む生田めがけて降り注いだ。
「きゃっ…!」
 思わず声を上げて顔を背けた生田に、
「い、生田さん!ご、ごめんなさいぃぃ…!いやぁっ!と、止まらないよぉ!」
 と、なおも潮を噴射し続ける史緒里。
 生田の顔は瞬く間にビショビショになった。
「ククク…どうだ?可愛い後輩に潮をぶっかけられた感想は?」
「す、すごいぃぃ…っ!」 
 もはや何が何かも分かっていない生田は、舌なめずりをしながら乳房の奉仕を続ける。
 やがて史緒里は、耐えきれず、膝が折れてバタリとその場に倒れた。
 まだビクンビクンと小刻みに痙攣している。
 鮫島は、生田の奉仕を遮ると、
「あそこの壁に手をついてケツを突き出せ。後ろから突き刺してやる」
 と言って、生田の身体を起こし、壁際に連れていった。
「ちょ、ちょうだい…早くぅぅ!」
 生田はただただ夢中に、言われた通り、壁に手をついて挿入を待ち望む。
 その細い腰を両手でしっかりと押さえつけ、鮫島は、濡れた秘部に先端をあてがうと、ゆっくりと挿入した。
「んあぁっ!き、きたぁぁっ…!すごいよぉっ!」
 本来なら屈辱の挿入の筈なのに、媚薬と性感責めにすっかり毒され、感嘆とした声を上げて刺激を味わう生田。
 徐々に激しくなる鮫島のピストンに、その細い身体は折れてしまいそうなほど反り、膣奥へと打ち込まれる快楽を堪能する。
 鮫島も、ただ一辺倒に突くだけでなく、時折、角度を変えてはグリグリと腰を擦り付けるようにして、生田の膣内の隅々にその肉棒が侵入した痕跡を作っていく。
「あっ!んんっ!んあぁぁっ!」
「さっきまでの澄ました精悍な表情はどうした?犯されてるんだぞ?ほら、もっと抵抗してみろ!」
「む、無理ぃ…!て、抵抗なんて…できないっ…あひぃぃ!」
 その下品な絶叫に釣られて史緒里も再び起き上がり、巻き付くように鮫島の身体に擦り寄ると、もどかしそうに鮫島の乳首に舌を這わせた。
 鮫島は、そっちにも目を移し、
「何だ?お前も欲しいのか?」
「ほ、欲しい…!」
「ククク…安心しろ。コイツがイッたら次はお前の番だ」
 鮫島はそう言うと、生田へのピストンのスピードを上げた。
「んひゃぁぁ!は、激しいっ!すごいぃぃっ!」
「どうだ?気持ちいいか?」
「き、気持ちいいっ…!」
「じゃあ、もっと大きな声で言え!恥ずかしがらずに言ってみろ!」
 と鮫島は言いながら、陰でその行為を撮影する衛藤に目配せした。
 アイコンタクトを貰った衛藤が、レンズを生田に向け、その淫らな顔をアップにする。
 そして生田は、まるでテレビ電話の向こうへ訴えるように、
「んあぁぁっ!イ、イクぅぅっ!壊れちゃうっ!あぁぁぁっ…!」
 と絶叫した。

 ……

 一時間後。
 玲香たちは、その凌辱の現場と思われる千葉県成田市内の廃れたラブホテルに到着した。
 地獄絵図のテレビ電話は、15分ほど前に途切れた。
 画面の中で、生田も史緒里も、ともに二回ずつ鮫島に犯されるという凄惨で直視しがたい光景だった。
(よくも二人を…!)
 鬼の形相の玲香を先頭に突入する。
 突入部隊に任命されたのは、秋元真夏、樋口日奈、北野日奈子、伊藤純奈、岩本蓮加、向井葉月など、とにかく本部に残っていたメンバーと、そこに訓練生から賀喜遥香、柴田柚菜、田村真佑の三人が緊急召集されて加わった計十名だった。
 全員が拳銃を携帯している。
 ドアを蹴破り、部屋に強行突入した。
 鮫島はいなかった。
 そのかわりに、生田と史緒里の二人が全裸の状態で折り重なるようにしてベッドに倒れていた。
 所々、悪魔の精液を浴びせられた跡が残っている。
 その悪魔たちの姿がないところを見ると、どうやらタッチの差で逃げられたらしい。
 部屋を見渡すと、乱れたシーツ、まだ湿りが残る卑猥なシミ、床に散らかった大人の玩具、縄、そしてテレビ電話に使用された史緒里の携帯電話など、ついさっきまで二人がこの部屋で凌辱のかぎりを尽くされて慰み物にされていたのは火を見るより明らかだ。
 そんな酷い目に遭わされた二人には真夏が付き添い、すぐに市内の病院へ搬送された。
 残った捜査員たちも、部屋の中を調べたり、足取りを追うために聞き込みに回ったりと、方々に散った。
 狡猾な鮫島らしく、足取りを掴めるようなものは何も残されていなかったし、逃げ出す際もフロントを通らずに非常階段から出た模様だ。
 後手に回ったのは悔しいが、それでも、
(二人が捕虜として一緒に連れ去られなかっただけ幸運だと思わないと…)
 と玲香は思っていた。
 そんな中、ふと、部下の一人である向井葉月が、
「玲香さん」
 と小声で寄ってきて、一通の封筒を差し出した。
 
< 桜井 玲香 様>

 と宛名が書かれている封筒で、
「ベッドの下にありました。まだ中身は見ていません」
 と葉月は付け加えた。
 玲香は、黙って封を切り、中の便箋に目をやった。
 しばらく黙読したその便箋を丁寧に折り畳み、封筒に戻して懐にしまうと、玲香は、急に葉月を抱き寄せるようにして、
「この封筒を拾って私に見せたことは誰にも言わないで。特に真夏には、くれぐれも内緒に」
 と言った。
 普段の玲香と違ったその声の低さに、葉月は内容も理由も聞けず、ただ頷くしかなかった。

 
(つづく)

鰹のたたき(塩) ( 2020/01/25(土) 08:28 )