乃木坂抗争 ― 辱しめられた女たちの記録 ―





























































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第二部 第六章・斉藤優里の場合
4.インターバル
 放置されて一時間。
 優里は汗だくになって身体の疼きに身をよじっていた。
 あの後、男たちは三人とも、どこかへ行ってしまった。
 部屋に一人、拘束されたまま残された優里は、開発されたばかりで敏感になった剥き出しの乳房を慰める方法を探していた。
 もし手が自由に動いたら、迷わず自ら揉みしだき、快楽を貪っているだろう。
 しかし、分娩台の上にあられもない姿で拘束され、それが出来ない。
(だ、誰か、お願い…この疼きを静めてっ!)
 潤んだ目で部屋のドアを凝視するが、一向に帰ってくる気配がない。
 その結果、優里が行き着いたのは、とにかく身体を揺すり、その遠心力で乳房を自身の身体に打ちつけることだった。
 俯瞰で見れば惨めこの上ない姿だろう。
 しかし、今の優里には、惨めさより、この疼きを止める方が優先順位が上だった。
 限られた動きの中で、何とかして快感を得ようとする。
「んっ…んっ…」
 本当に微量だが、右、左と身体を揺するたび、乳房がうねる瞬間が少しだけ気持ちがいい。
 少しコツを掴むと、あとは、誰も見ていないのをいいことに、それに没頭する。
 部屋にぽつんとある分娩台で、一人で身体を左右に振り、その反動で生まれるわずかな快感を拾い集める優里。
 しかし、いくらなんでも、その程度の刺激では限度がある。
 最初は気休めになっていたが、徐々に物足りなくなり、そうなると次は中途半端な気休めのせいで余計に疼きが増していく。
(た、足りない…こんなのじゃ、全然、収まらない…!や、やっぱり誰かの手じゃないと…!)
「だ、誰か…誰かっ!」
 思わず声を上げる優里。
 先ほどの男たちなら、揉みくちゃにしてくれるかもしれない。
 そうすれば、この疼きを吹き飛ばすほどの快楽を得られる筈だ。
(後ろから鷲掴みにされて、そして左右のおっぱいをズリズリ擦り合わされて、乳首も摘ままれて、それから━)
 想像しただけで股の間が湿る。
 だが、そんな卑猥な想像に反し、いくら声を上げても男たちの反応はない。
「ねぇ!誰か来てっ!ねぇっ!!…お願い…お願いだからぁ…!」
 髪を振り乱し、涙声で切望する優里。
 だが、その後、いくら呼んでも男たちの反応はなかった。


 その様子を別室からモニタリングしてほくそ笑む男たち。
「へへへ。見ろよ。もう完全に堕ちたぞ」
「どうする?そろそろ行くか?」
「いや、あと三十分ぐらい置いてやろう」
「いいのか?狂っちまうぞ?」
「構わねぇよ。それに…」
 男はニヤッとして、
「例の“アレ”を使うには、狂ってからの方が面白い」
「なるほどな」
「そうと決まれば、コイツ、早く狂わねぇかなぁ」
「いいものが見れるぜ。へへへ」
 鬼畜な男たちは、まだ何かを企んでるらしい。

 ……

 三十分後。
 優里は、だらしなく舌を出し、首筋を唾液まみれにして戻ってきた男たちを迎えた。
 目が合うなり、瞳を輝かせ、
「お、お願い…触って…!おっぱい触ってぇ…」
 と、恋人に見せるような甘い表情で懇願する優里。
 先刻のスペンス乳腺の開発と媚薬入りローションの効果で、すっかり盛りのついたメス犬と化した優里は、もはや男の手が触れただけでもイッてしまうほど感度は高まっている。
 そんな優里に黙って近づく男たち。
 まだ触られてもいないのに、優里は、この後めちゃくちゃにされることを考えただけで既に恍惚の表情を浮かべていた。…が、ふと、その表情が固まる。
 男は、手を伸ばすかわりに、ポケットから注射器を取り出したからだ。
「え…な、何…?」
 液の滴る鋭い針を見て、我に返る優里。
 男は笑って、
「へへへ。こいつは鮫島の野郎が持ってきた新型のホルモン剤だ。これを投与すれば女性ホルモンが活性化し、女の身体に何やら“神秘的なこと”が起きるんだとよ」
「い、いやっ…!」
 的を得ない説明に恐怖が増幅する優里。
「おら、動くな!」
 男たちが左右から優里の身体を押さえつける。
 そして、注射器を手にした男は、その針の切っ先を優里の乳房に定めた。
「ま、待って…!…あっ、痛ッ…!」
 右の乳房に刺された痛みが走り、続けて左の乳房にも。
 優里が顔を上げた時には、男が手にする注射器の中にあった筈の液体は空になっていた。
 困惑する優里。
(な、何かを打たれた…!いったい、私の身体に何が起きるの…?)

鰹のたたき(塩) ( 2020/01/09(木) 19:41 )