乃木坂抗争 ― 辱しめられた女たちの記録 ―





























































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第二部 第四章・清宮レイの場合
3.トレーニング
 準備。…とはいったものの、次第にレイの表情に困惑の色が浮かんだ。
 左右の足首は椅子の脚にそれぞれ縛られ、手も後ろ手。
 さらにアイマスクまでつけられ、視界まで奪われた。
「み、美彩さん…これが本当にトレーニングなんですか…?」
「そうよ。万が一、敵に捕まって拷問に遭った時、いかなる責めにも屈することなく堪え忍ぶこと。それが忍耐力よ」
(そ、そうなのかなぁ…?)
 レイは少し違うような気がしながらも言えなかった。
「はい、出来上がり!」
 後ろの手も椅子に縛りつけた美彩が声を上げ、
「どう?動けそう?」
「いえ、動けない…です…」
 レイは、手足をバタバタさせながら言った。
「オッケー。それじゃあ、トレーニング開始!」
 美彩は、なぜか嬉しそうに言って、
「拷問っていうのはね。なにも、その捕らえた相手を殺すことが目的じゃないの。それよりも、何か秘密を聞き出すとか、降参を認めさせる言葉を言わせようとするとか、そういうことが目的になるワケ」
「はい」
「特にレイちゃんみたいな若くて見た目も可愛らしい娘なら、尚更、暴力を振るわれることはないと思う。そのかわり、どんなことをされるかというと…」
「んっ…!」
 ふいに耳に美彩の指が触れた。
(び、びっくりしたぁ…!)
「もし相手が男なら、レイちゃんがあまりに可愛いから身体を触りたくてしょうがないと思うの。でも、触られて反応しちゃうと相手を調子に乗せちゃう。だから、拷問を諦めさせるには、まず、相手を喜ばせるような反応をしちゃいけないの。分かった?」
「は、はい…」
「じゃあ、試しに私が相手役をやるから、声を出しちゃダメだよ?」
「え?ほ、本当にやるんですか?」
「ええ。だって、実際にしてみないと、いざ、そういう目に遭った時に初体験じゃ困るでしょ?」
 美彩はそう言うと、レイの耳たぶ、うなじ、首筋をくすぐるような手つきで触っていく、
「んっ…やっ…!」
「ほら、反応してる!それを我慢しなきゃダメよ」
「は、はい…」
 目隠しのせいで、美彩の指がどこから伸びてきて、どこを狙っているかが分からない。
「…んっ、むっ…やっ…」
 口を真一文字に縛り、頬を膨らませながら耐えるレイ。
「そうそう。我慢よ、我慢」
 だんだん、くすぐりの指が下に降りてきて、脇腹、お腹、そして鍛えられた太ももへと伸びる。
「え!…そ、そんなところもですか…!?」
「そうよ。こういう状況で敵は遠慮してくれないのよ?」
 内腿を這い回る指。
「やっ…く、くすぐったいです…」
「こらこら、弱点を自分から教えるなんて言語道断よ?そんなことを迂闊に言っちゃうと…」
「やぁっ!ちょっ…待ってくださいぃぃっ…!」
「こういう時、敵は確実に弱点を狙ってくる。それを肝に銘じておくこと。…分かった?」
「は、はいぃぃ…!」
 くすぐったくて声が震えるレイ。
 しかし、美彩は、まだ指を止める様子はなく、
「そして、特に気をつけなきゃいけないのが、こういうところへの攻撃よ」
 と言いながら、左右10本の指をトレーニングウェアに覆われた胸元へ持っていった。
「み、美彩さんっ!そこはダメですよぉ…!」
「ほら、また自分からそんなこと言って…」
 美彩は溜め息をつくと、レイの耳元に顔を寄せ、
「何がダメなの?…って、もし敵に言われたらどう答えるの?」
「やぁっ…!で、でも、恥ずかしいですぅ…」
「それも言っちゃダメ。恥ずかしい目に遭わせて辱しめてやろうっていう敵もいるから、そんなヤツらの思う壺よ?」
 美彩は、そう言いながら、ゆっくり力を入れ、レイの胸の膨らみに指を食い込ませていく。
「んんっ…やっ、あっ…」
「ほら、レイちゃん。うっとりしてちゃダメじゃない」
「ち、違いますっ!うっとりなんてしてないです、けど…やぁっ!」
「早く逃げ出さないと、どんどん敵が増長しちゃうわよ」
「で、でも、これ、縄がきつくて全然…んっ!あっ…」
 もはや、トレーニングウェア越しに、完全に胸を揉まれ始めたレイ。
「み、美彩さん…!ちょっとタイム…!」
「ふふっ。何を言ってるの?拷問にタイムなんてあるワケないでしょ?」
 美彩は意地悪な笑みを浮かべながら、レイの耳に息を吹きかける。
「ひゃぁぁ…!」
「ダメよ、レイちゃん。そんな甘い声を上げちゃうと男たちも興奮して、直接、触ってくるかもしれないわよ?」
(…!!)
 美彩の指が、背後からトレーニングウェアに中に潜り込んできた。
「ダ、ダメですっ!…本当にダメです!ちょっ、美彩さんっ!」
 ジタバタと身体を揺するレイ。
 しかし、即席の拘束にもかかわらず、固い結び目はびくともしない。
(ふふっ、バカな子…絶対に外れるワケないのに…)
 美彩は、目隠しをされて何も見えないレイの背後で“なぜか”不敵に笑った。

鰹のたたき(塩) ( 2019/12/27(金) 21:42 )