乃木坂抗争 ― 辱しめられた女たちの記録 ―




























































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第二部 ANOTHER-01 女捜査官の逆襲 (桜井玲香・中田花奈)
2.取り調べ
 アナウンスが流れ、バンコク行きの便の搭乗が始まった。
 吉村は、急ぎ足で搭乗口へ向かった。…が、、ふと、その足が止まった。
 自分の前に、女が立ち塞がったからだ。
「どこへ行くんです?」
 桜井玲香が聞く。
「またアンタか」
 吉村は肩をすくめ、
「何度も言っているが、僕は何も知らないんだ。鮫島という男に会ったこともない」
「知らない男が、あなたの別荘を根城にして使っていたことは、どう説明されるおつもりですか?」
「だから、それも何度も言ったでしょう!僕は父の遺産で転がり込んできたあの別荘を持て余していた。空き家同然だったんですよ。それをいいことに、その鮫島とかいう不貞の輩が勝手に住み着いていたんでしょう!」
「…分かりました。ところで、先日、私の部下が、あなたの元を訪ね、別荘の間取りを聞きましたね?」
「ええ、来ましたよ。あまりにしつこいので嫌々でしたが教えてあげましたよ」
「ご協力には感謝しています。ただ…」
 桜井は、その時に吉村が書いた邸の見取り図を取り出し、
「あなたの書いてくれた見取り図ですが、唯一、地下室の隠し通路だけ書かれていません」
「━━━」
「なぜ隠し通路があることを教えてくれなかったんですか?」
「…飛行機の時間だ。失礼する」
 吉村が行こうとするのを、
「まだ話は終わっていませんよ」
「それはアンタが納得しないだけで、僕からすれば終わっている」
 桜井は、突然、吉村の手からチケットを奪い取った。
「あっ!な、何をするっ!」
「…バンコクへは、ご旅行ですか?」
「そんなこと、アンタに関係ないだろう!」
 吉村はチケットを奪い返し、
「とにかく、もう時間だ。失礼する!」
「忠告しておきますが、もし、そのバンコク行きの目的が“逃亡”だとしたら行かせませんよ」
「━━━」
「実は、先日、私の親友が酷い目に遭いました。私は、その敵討ちをすると決めました。そして、その敵討ちのためには手段を選ばない。私は鬼になると決めたんです」
「バカバカしい。そんな思想で捜査官が務まるんですか?」
「捜査官である前に人間です」
「では、どうするんです?私を拷問にでもかけて無理やり聞き出しますか?そんなこと出来る筈がない!」
「…出来ますよ」
「…え?」
 次の瞬間、背後から全身に痛みが走った。
 薄れる意識の中で、チラッと後ろを見ると、いつのまにか中田花奈がそこにいた。
 二人は、気絶した吉村を急病人に見せかけて肩に背負い、空港から運び出した。


 目が覚めた時、吉村は蛍光灯が一本だけの薄暗い部屋に運ばれていた。
(ここは…どこだ?)
 起き上がろうとしたが身体が動かず、よく見るとベッドの四方に固定されていることに気づいた。
「な、何だ!これは!」
「気がついたようね」
 闇の中から現れる桜井。
「これは何の真似だ!」
「鮫島の居場所を教えなさい」
「知らんと言っているだろう!」
 吉村は突っぱね、さらに、部屋の隅にもう一人、中田もいることに気づいて、
「僕を気絶させたのを君だな!?いったい、どういうつもりだ?僕はバンコクへ行くところだったんだぞ!」
「質問をしてるのはこっち。知ってることは全て話した方が身のためよ?」
 と、中田は腕組みしながら近づいてきて、冷たい視線で見下ろすように言った。
「知らないと何度も言ってるじゃないか!」
「あまり私たちを甘く見ない方がいいわよ?」
 桜井が、ぐっと顔を近づけて、
「アンタが、以前、歌舞伎町のバーで、ちょくちょく鮫島と会っていたことも、一年前、鮫島にフィリピン行きのチケットを手配したことも、既に分かっているんだから」
「━━━」
「何なら、証人を連れてきてもいいけど?」
 と、中田が言う。
「━━━」
「あと、一年前、アンタは、突然、あの別荘をリフォームして地下室を造っている。やたらに業者を急かしてまで地下室を造った理由も聞いておこうかしら?」
「━━━」
「それに、アンタの運転する車で多摩川の土手まで運ばれたっていう女性もいる。アンタ、個人タクシーの運転手でもやってるワケ?」
「な、何かの間違いか、もしくはでっち上げだ!」
 と吉村が反論すると、桜井は暗く冷たい目をして、
「その女性は、鮫島に拉致されて酷い事をされた。そんな消したい過去も、勇気を出して私たちに全て話してくれたわ。そんな娘が嘘を言うと思う…?」
「━━━」
「その女性に、あなたの写真を見せたら怯えていたわ。なぜ怯えていたか。それはアンタも一緒になって、その娘を…」
「ち、違う!無理やり一緒にやらされたんだ!」
「やらされた?何を言ってるの?鮫島なんて男は知らないんでしょ?だったらアンタが自分の意思でやったってことになるでしょうよ」
 中田が追い込みをかける。
「━━━」
「何とか言いなさいよ」
「違う…本当に違うんだ…」
「はぁ〜…ラチがあかないわね」
 溜め息をついた中田は、突然、ハサミを取り出し、吉村の目の前に突きつけた。
 吉村の顔が蒼くなる。
「な、何をするつもりだ?」
「口を割らせてあげるわ」
 そう言って中田は、おもむろに吉村の服を切り裂き始めた。
「な、何をするんだ!やめろっ!」
「ほら、暴れないの!」
 中田は素早い手付きで、あっという間に吉村をパンツ一丁にした。
 そして、股間の膨らみにハサミを当て、
「こういうのがついてるから悪い気を起こすのかもねぇ」
 パンツ越しに吉村の股間をつつく中田。
「切り落としちゃおっか?」
「え…?」
 吉村の顔が凍る。
「ふふっ、冗談よ。何よ、マジでビビっちゃって…気合いが足りないんじゃないの?」
 中田はバカにしたように笑ったが、急に冷たい目になり、
「鮫島は快楽で女を支配できると思ってるみたいだけど、それは逆もまた然りだということを教えてあげるわ。アンタの身体でね」
 と言った。


 聞くに耐えない中年男の荒い吐息が部屋に響く。
 吉村がパンツ一丁にされて15分。
 その間ずっと、上では桜井が乳首の周囲を指先でなぞり、下では中田が股間の膨らみをかたどるように爪を立てる。
 両方とも、あと少しで男の敏感なところに触れる位置だが、あくまでもその距離感をキープしたまま、その状態が延々と続いている。
 焦らされ、性感を宙ぶらりんにされた吉村は、
「も、もうやめてくれぇ…」
 と何度も懇願したが、そうすると、きまって二人は、
「じゃあ、言いなさい!鮫島はどこ?」
 と聞いてくる。
 鮫島の恐怖が頭に焼きついている吉村は、そのたびに、防衛本能からか、あとの言葉が出なくて口ごもる。
 そしてまた、女たちの指が動き出す。
 この地獄のループを何度も繰り返していた。
 中田がクスクスと笑って、
「玲香。見てよ、これ」
「うわぁ、きっも!」
 と、玲香は露骨に引いた顔をする。 
 それもその筈、吉村のブリーフは高々とテントを張り、そのてっぺんからは滲み出た男汁がシミとなって広がっていた。
「ほらぁ、下の方はもう限界って言ってるわよ?早く言いなさい」
「し、知らん…!鮫島なんて男は…知らない…」
「ふーん」
 桜井の指が、待ちきれずに固くなった乳首を掠めた。
 吉村の身体がビクンと反応する。
 少しだけ責めが先へ進んだ。が、本当に微々たる前進で、あくまでも掠めるだけ。
 すっかり受け入れ態勢になってしまっている身体に対し、その程度の前進はむしろ逆効果だ。
「ほら、ビクビク反応してないで答えなさいよ」
 桜井は絶妙な指の動きで吉村を悶絶させる。
「こ、この変態捜査官が…!」
 吉村は精一杯の抵抗をするが、すぐに中田が返す刀で、
「変態はアンタでしょ。パンツこんなにしてよく言えたもんだわ」
 と言い、ハサミの切っ先を当てて、
「ほら、こんなに糸を引いちゃって。このだらしない汁を垂れ流すのを止めてから言ってちょうだい」
「くそぉ…くそぉ…!」
 身体を揺する吉村。
 そして、ふと宙に焦点があった時、顔色が変わった。
 桜井が持ち出したもの、それは俗にピンクローターと呼ばれるものだ。
「次はこれでやってあげる」
 桜井は、それを両手に装備し、またも乳首の周囲を乳輪に沿って当てた。
 振動が伝わる。
「ちょっとぉ、また出てきたんじゃないの?」
 と中田が声を上げ、
「これ、もう下着としての役目を果たしてないから切っちゃうね」
(…!)
「や、やめろぉ〜…!」
 吉村は、か細い悲鳴を上げながら拘束された身体でジタバタと暴れた。

鰹のたたき(塩) ( 2019/12/22(日) 11:31 )