3.深夜のパーティー
秘密クラブ『メリー・ジェーン』。
深夜0時を過ぎた頃、七、八人の男が人目を気にしながら続々と店を訪れた。
「○○様、お待ちしておりました」
ボーイが怪しげな笑顔を見せ、来た客を次々と店の奥へ案内する。
奥では、先に着いた男たちが、
「いやぁ、先週の娘は良かったですなぁ」
「今夜はどんな女が用意されているか楽しみだ」
「今日は私が一番最初を頂きますよ?はっはっは」
などと下世話な会話で盛り上がっている。
会員たちが揃ったところで隅のステージに支配人が登壇し、
「皆さま、本日もお集まりいただき、ありがとうございます。今夜もまた、皆さま好みの女を用意いたしました。時間の許すかぎり、たっぷりと楽しんでくださいませ」
と挨拶をした。
それと同時にボーイが、大きな布を被せたキャスター付きのテーブルを二人がかりで押してきて、男たちの輪の真ん中に止めた。
その布に覆われた人型の膨らみが少し揺れ、そのたびにテーブルの脚から伸びる鎖がジャラジャラと音を立てる。
客の男たちは立ち上がり、身を乗り出すようにして、その布の中身を待ちわびている。
「それでは、どうぞ!」
男の声で、その布が取り払われた。
「おぉ〜!」
客から歓声が上がった。
現れたのはアイマスクと猿轡をつけた全身レザースーツの細身の女、そう、任務に失敗して捕らわれた山下美月だった。
(つづく)