乃木坂抗争 ― 辱しめられた女たちの記録 ―





























































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第一部 第一章・山下美月の場合
3.深夜のパーティー
 秘密クラブ『メリー・ジェーン』。
 深夜0時を過ぎた頃、七、八人の男が人目を気にしながら続々と店を訪れた。
「○○様、お待ちしておりました」
 ボーイが怪しげな笑顔を見せ、来た客を次々と店の奥へ案内する。



 奥では、先に着いた男たちが、
「いやぁ、先週の娘は良かったですなぁ」
「今夜はどんな女が用意されているか楽しみだ」
「今日は私が一番最初を頂きますよ?はっはっは」
 などと下世話な会話で盛り上がっている。
 会員たちが揃ったところで隅のステージに支配人が登壇し、
「皆さま、本日もお集まりいただき、ありがとうございます。今夜もまた、皆さま好みの女を用意いたしました。時間の許すかぎり、たっぷりと楽しんでくださいませ」
 と挨拶をした。
 それと同時にボーイが、大きな布を被せたキャスター付きのテーブルを二人がかりで押してきて、男たちの輪の真ん中に止めた。
 その布に覆われた人型の膨らみが少し揺れ、そのたびにテーブルの脚から伸びる鎖がジャラジャラと音を立てる。
 客の男たちは立ち上がり、身を乗り出すようにして、その布の中身を待ちわびている。
「それでは、どうぞ!」
 男の声で、その布が取り払われた。
「おぉ〜!」
 客から歓声が上がった。
 現れたのはアイマスクと猿轡をつけた全身レザースーツの細身の女、そう、任務に失敗して捕らわれた山下美月だった。


(つづく)

■筆者メッセージ
☆作者の後日談☆

如何わしいパーティーの出し物にされてしまう捕らわれの美月…というシーンでした。

あらすじかよ!ってぐらい短いですね(笑)

まるで上品なコース料理みたいな小出しっぷり。

久々に読み返して、これが後々、特盛りの学生メシみたいにボリュームになっていくと思うと別人を疑わずにはいれません(←笑)

ちなみに登場する秘密クラブの名前『メリー・ジェーン』は、つのだ☆ひろの歌の名前です。

これはよく覚えてますが、執筆当時、

「何て名前のクラブにしよかな〜?別に何でもいいけど、イマイチ、ピンとくるのが思いつかんなぁ…」

と変なところで悩んでました。

架空の店名とか会社名って、意外としっくりこなくて悩むんですよ。

で、そんな矢先、かけ流しにしてたテレビで『色褪せぬ名曲特集』みたいな番組が始まって、ちょうどそこで一曲目に『メリー・ジェーン』でかかり、その語感が妙に気に入ったのでそのまま引用しました。

意外にそういうもんなんです、執筆って(←笑)
鰹のたたき(塩) ( 2019/12/04(水) 09:56 )