冒険
05
優子さんとゆったり花見を満喫していると予想もしていなかった事が起きた。クラスの奴と会ったのだ。
「あれ陸じゃん、なにしてんの?」
「いや、花見だけど。ってかお前ら花見とかくんだな。」
「たまたまな、今年は結花梨が行きたいって言うからな、仕方なく。」
そう言ってうちのエースの荻原享は彼女と歩いていた。
「でさっ…」
享は俺に近づき耳打ちした
「お前、一緒にいるの彼女?すっげえ美人じゃん。」
その質問は一番されたくなかった質問だ、お互いの関係を説明するのは少し難しい。
「いや、違うよ。あの人を彼女になんかできるわけないだろ」
「どうかな?」
突然の横からの声に驚いてみると、優子さんがその声を発していた。
「彼女にできないなんて事はないと思うよ、それに私より可愛い人なんてたくさんいるし。」
突然の事に俺たちは呆然として立っている。
「で、二人の関係はどういう感じなんだよ。」
享がなんとか絞り出した言葉に俺は言葉をつまらせた。
「何だろうね、今はお友達ってところかな、ね?」
同意を求めるようにこっちに首を傾けた彼女に、「はい」とだけ言って頷いた。

あのあと結果享は予想だにしなかった出来事にペースを崩して彼女と歩いていった。
「ね、言ったでしょ。」
優子さんは言う
「関わらないでって、後悔しても知らないって。」
「今ので後悔なんてしませんよ。」
「でも関係については言えなかったでしょ。自殺しようとしてたこの人をとめて以来の関係ですなんて。」
「確かに、それはそうですけど…」
優子さんはさっきまでの明るい表情はなく、よく見たことのある思い詰めたような表情になってしまった。
「やっぱりね、関わるのはやめよう。」
「えっ…」
彼女はそう言うと一人で歩きだした。

愛生 ( 2014/07/26(土) 16:52 )