御神籤
03
結構長い時間乗っている。眠気にうとうとしていると彼は降りる素振りを見せた。急いで私も降りて適当な距離を置いて歩いていた。しかし改札を出ると彼の姿を見失ってしまった。
ここまで来てなんでこんなところでミスをするんだ!
自分に失意と怒りを感じながらも急いで駅を出た、まだそこら辺に彼がいるのではないかと思ったのだ。この片道800円のもとを取った結果がほしいのだ。ぼやぼやと辺りを見回していると
「田野さん?偶然だね、こんなところで何してたの?」
声をかけてきたのは手に先程買った白い花束を持った彼だった。
「いや、ちょっと暇でこっちまでぶらぶらと来てみたんだけどやることがなくて…」
うまく笑えているだろうか、うまく言葉は出ただろうか、不安から背中にはすごい汗が出ている。
「暇でってすごいね、さっきの講義終わった後からでしょ
?」
「そう、そうなの!陸くんは何してるの?」
「ちょっとこれから行くところがあってね」
「えっと…じゃあ私も一緒に行って良い?」
彼は明らかに戸惑った表情をした、そしてそれは思わぬことを言ってしまった私も同じだった。
「来ても良いけど、きっと楽しくないよ。」
彼はそう言った。

愛生 ( 2014/07/01(火) 12:36 )