2nd
07
「笑えるだろう、未来は変わったのに、酷い結末になったんだ。」
俺は宮野にそう言った。
「でも、それで転校してきたのか?彼女の方は助かって…」
「死んだんだ。」
湯船に入っているはずなのに、寒気がした。
「たかみなが死んで、自分のせいで死んだんだと思って気を病んで、ある日の帰りに踏み切りに飛び込んだ。」
汗とは別に、何かが流れ出す。
「結果俺は、一人だけ死ぬ未来を二人死ぬ未来に変えた!しかも二回目は、俺にあっちゃんを守るチャンスもくれずに!!」
ずっと溜まっていた思いが一気に溢れ出す、何年分の感情が、今涙とともに溢れているのだろうか。
「だから、だから俺はこっちに来て、名古屋に来てからはもう誰とも深く関わらないって決めてたんだ!もう、誰かの過去を見るのも、未来を見るのも嫌なんだ!」
「俺も友達を一人失った。」
しばらく静けさが二人の間に流れたあとに、宮野は急に言った。
「昔から仲が良かった奴でさ、でもそいついじめられてて。」
宮野はゆっくりと息をした。
「で、いじめてた奴と俺、そいつのことで喧嘩したわけ、そしたら次の日にそいつ俺んとこ来て『そんなことして、もっといじめられたらどうするんだ』って言ってきたんだ。だから俺、あいつに、やり返せないからいつまでもいじめられる、弱いままなんだよって、言っちまってさ。」
ゆっくりと宮野は顔を伏せた。
「ほんとは解ってたんだ、あいつは弱くなんか無い、耐えるのはどんなに強いことかも。それ以来あいつとは話さなくなっちまって、別の高校行ったきり、連絡もとってなくてさ、だから俺もお前みたく、関わっていい線引きをしてたんだ、気づいてただろ?」
あぁとだけ答え、宮野を見た。
「だから、初めてお前と会ったときから、お前がなんか抱えてんのは解ってた。けど踏み込めなくってさ…
でも良かった!今日で俺はこの線引きをやめることができた!お前もそうだろ、話してくれたんだから。」
宮野がそう言った瞬間、俺はあの光を見た。
「お前はいつの時代でも誰かを支えてきたんだな。」
一つ一つの画像が俺の頭のなかを駆け巡る。
「それって、俺の過去が見えたのか?」
「あぁ、前世だったけどな。」
俺はもう過去を見ても大丈夫なのだと思うと、安心できた。俺の過去を見る能力は、未来を見る能力とは違い画像が細切れで見える。音声も何もないが、見ただけでその状況全てが解るのだ。

全く、奇妙な能力だ。

■筆者メッセージ
過去回想は終了です。まだまだ2ndは続きますけど、頑張って読んでください!
愛生 ( 2014/03/10(月) 02:02 )