2nd
02
そして来てしまったGW、何より俺を驚かせたのは一泊二日という俺には考えられないような計画だということだ。どうして他の親は許可を出したのだろう?そして前を歩く宮野はテントを持っているというあり得ない光景だ。
「着いたー!」
着くと同時にちゅりが叫ぶ。俺と茉夏は荷物を地面に下ろした。
「疲れたー」
と久美ちゃんと花音は腰を下ろす、俺は宮野とテントを広げる。
「海だ!!」
真那の声にみんな反応する、俺たちはテントを張る準備をした。
「島谷君テンション低くない?」
「いや、疲れただけだよ」
花音も疲れてるはずだと思うのだが、続けて彼女はこう聞いてきた。
「せっかくなんだし遊ぼうよ」
「でも今テント張らなきゃ夜困るし」
さすがにその誘いは断れたと思った。
「じゃぁちょっと海に行こうよ!」
「いや、だからテントが…」
「そんなの宮野君に任せちゃえば良いの!」
「えっ、俺だけでやんの!?」
それが彼の最後の言葉だった。
結果的に茉夏と宮野以外は海で遊んでいた。
海に入れない季節なのに、遊ぶのも変だと思っていたが、案外楽しいものだった。
海から帰るともう四時だった。
「夜ゆっくりしたいから今のうちに銭湯行こうよ。」
茉夏の提案のおかげですんなりと風呂に行けた。

この季節にキャンプ場を利用する客は少ないようで、近くの銭湯も俺らの貸しきり同然だった。
「なんで俺と茉夏ちゃんでテント張らなきゃいけねぇんだと!」
「俺だって行きたかった訳じゃねぇよ、それに案外二人だけってのも悪くなかっただろ?」
「悪くなかったな(笑)」
そんな会話をずっとしていた。

「なぁ、お前最近明るくなったよな」
「そうか?」
「真那ちゃんも昔の輝みたいになったって言ってたぜ。」
「そうだな…」
しかし俺はもうW昔のW自分には戻れないと思っていた。
「なぁ、なんでお前は変わったんだ?真那ちゃんが知らない3年間で何があった?」
今日の宮野は普段は越えない一線を越えてきた、でもそれは軽い気持ちじゃない、勇気をだして踏み込んできたのだとは解った。
「お前にはいつか話すことになるとは思ってたよ。話さなきゃいけないとも。」
真那が小5の終わりにいなくなってから、俺が名古屋に来た中3までのことは、両親以外知らない。正確には両親すら本当のことを知らない。
「俺が転校してきた理由を話すよ。」
ついにその日が来た。

■筆者メッセージ
やっとエスパー要素でますよ、ここまで長引かせてすいませんでした(笑)
愛生 ( 2014/03/03(月) 00:09 )