TAKE6
natural
「いってぇ。ここは」
すると監督が声をかけてくれた
「ここは救護室だ。大丈夫か?試合終了と同時に倒れるから心配したぞ。」
「監督・・結果は?」
監督はきょとんとしていた
「お前覚えてないのか?」
俺はDFと接触した以降の記憶がなかった
「接触以降の記憶がないんすよね」
「お前ってやつは。あの後お前がFKたたきこんだのと最後単独突破でダメ押しを決めて勝ったんだよ。医者は今日は一日安静にしとけってよ。みんなに感謝しろよ?お前をここまで運んでくれたんだから。んじゃ俺はご家族呼んでくるから待ってろ」と救護室を出て行った。
「そういえばみずほにあったな。あいつのおかげで勝てたのかもなぁ。みんなにもお礼言わないと」
一人で考えていると
勢いよくドアが開いた。

「お兄ちゃん!」
「翼!」
奈々未と飛鳥が血相を変えて入ってきた。
「こら!静かにしなさい!翼大丈夫?」
「母さん、ごめんみんな心配かけて・・・」
「無茶しやがってまったく。でもよかったなとりあえず勝てて。」
家族の顔を見ると安心した。

「荷物もってくるからもうちょっと休んでなさい!」
そう言って両親が部屋を出てった。

その瞬間奈々未と飛鳥が翼に抱き着く。
「いってぇーよ。やめろって二人とも」
「文句言わない!心配かけさせといて!」
「そうだぞ!バカ兄貴!飛鳥ちゃん心配したんだぞ!」
それを言われると・・・
俺は二人の頭をなでながら
「ありがとう。二人のおかげで勝てたよ!」
「よろしい。よし!飛鳥パパたちのところ行こ!」
「また後でね!」

騒がしい二人が部屋を出るとものすごい静寂につつまれる。

次に鷹山と克君が入ってきた。
「大丈夫か?」
「ごめん克君。迷惑かけて。」
「いいよ。勝てたんだから。次出れるのか?」
「たぶんね。監督が出してくれたらね。」
「ゆっくり休めよ!んじゃ!ホテル戻ってるから」
「克君、先行ってて!翼と話があるから」
「わかった。遅くなるなよ鷹山」
鷹山と二人きりになる。
「話って??」
「ごめんね。試合中に殴って。」
「いーよ。もともと俺が悪かったんだし。千歳の言うことも今になって気づくくらい頭に血が上ってたんだからね。まだまだだよ俺は。」
自然と笑みのこぼれる二人。
「あいつに気づかされるなんて。そういえばみずほに会ったとか言ってたけど、何言われたの?」
俺は事の顛末を伝えた。
すると
鷹山が腹を抱えて笑っていた。
「なんで笑ってんだよ鷹山。」
「ごめんごめん。ついつい。みずほ相変わらずだね。僕らが言うよりよっぽど効くみたいだね。」
「ホントなぁ。あいつには逆らえん。インハイ終わったら一度みずほの墓に行こうと思うんだけど、鷹山もどう?」
「いいの?僕も行って。」
「当たり前だろ。親友だろ?」
俺が岐路に立った時ずっとそばにいてくれたのは鷹山だった。やっぱり鷹山は俺の道しるべになってくれる男だ。改めてすごい男だ。

鷹山は時計を見て、
「よし。そろそろ本番かな。翼、がんばってね。」
「何をだよ」
「言われたんだろ?みずほに仲直りしろって」
「あーあれはお前もだろ。」
「まず第一ラウンドだよ。愛李達のことはインハイ終わってから。とりあえず家族と決着つけたほうがいい。んじゃホテルで待ってるよ。」
「サンキューな鷹山」
手を上げながら鷹山が
出ていく。
廊下に出ると鷹山は玲奈と珠理奈 そして翼の本当の母親が立っていた。
「あとはみなさんの時間です。」
「ありがとう鷹君」
玲奈と珠理奈は鷹山に別れを告げ救護室へ入る。


シベリアス ( 2018/07/11(水) 22:02 )