TAKE5
bad smile
桜花応援席
「やっぱお兄ちゃんすごいね!サッカーの試合初めて見たけどうますぎだよ。未央奈のお兄ちゃんもうますぎ!」
興奮気味に話す飛鳥
「翼君とお兄ちゃん最強コンビだからね!」と未央奈も感情が高ぶっていた。
「思った以上にうまくなったなあいつも。ただ全力を出してるわけでもなさそうだしまだまだ目がはなせいな。」
「お母さん、翼すごいね」
「初めて見るけど、あの子とんでもないわね」
奈々未と母さんの会話を自慢げに聞く飛鳥と親父。
「うちらの彼氏とんでもない三人だったのね。すごすぎ」
インターハイに続き普段の陽気な千歳からは想像できないようなプレーに美彩も驚きを隠せない。
「鷹くんまたゴール決めないかなあ。決めなくてもかっこいいけど」
「まいやんもみさみさもデレデレやん。」
「そーゆーなぁちゃんだって翼が点決めたとき飛び跳ねてたよね??」
「あれはうれしかったんやもん。」
「後半も応援しようね!」
桜花女子三銃士の応援の力もあり最高の前半になった。

反対に栄学園の応援席は沈黙に包まれていた。
「0-2か。きついかな」
応援メンバーは早くもあきらめムードだった。
しかし
「まだほころびが見えてないだけ。この後なんか起きそうな予感する」
そうつぶやいたのは珠理奈。
「私もそう思う。ただいいことではない気がするんだけどね」
玲奈も何かを感じ取っていた。

「やっぱすごいね翼も鷹山も。ただ翼中学時代みたいに楽しんでない気がする」
「鷹山も違和感あるんだよねぇ」
明音と愛李はどことなくあの頃の二人とは違うんだと感じ取っていた。
するとクラスメイトが
「まだあの二人のこと気にかけてるの?あんなひどいことされたのに」
応援席はまた静寂に包まれた。
ハーフタイム
桜花大付属高校ロッカー
「前半はよかった。後半は後半だ!切り替えていけよ!」
「おう!」
気合を入れなおした翼に
「ねーねー翼も鷹山もサッカー楽しんでる??」
千歳は真剣な顔で聞いてきた。
「もちろん。な?鷹山」
「うん。そのつもりだけど?」
「ならいいけど、心の底から楽しんでる風には見えないけど。特に翼。敵は将基達だけじゃなくて自分自身なのかもね」とつぶやきながらピッチへ
この時千歳の言葉を理解できていなかった翼。

栄学園ロッカー
「大丈夫だ。将基お前は前にいてくれ!必ず届けるから!」
チームメイトの熱意を感じて将基は気合を入れ直した。
敵は翼たちだけじゃない!
「将基、とりあえず最初あれやってみ」
監督の提案に将基はうなずく。
「やってやる!」
みんなで勝つんだ!
両チームがピッチへ戻り後半のキックオフ!!
後半珠理奈の予想通り試合は大きく動くことになる。

シベリアス ( 2018/07/11(水) 21:53 )