TAKE2
elgrand
絵梨花が転校してきたから三か月
すっかりクラスに馴染み楽しそうにしていた。
そんなある日
廊下からどたばたと足音が聞こえる。きっと奴だ。
「おーい翼。翼ーTSU・BA・SA!!!!!」
「やっぱり。」相変わらずやかましい。
「朝っぱらからうるせぇよ千歳」
「毎度どーも!!!」
そう、こいつが桜庭千歳 三銃士最後の一人
「どうしたんだい?」と微笑みながら聞く鷹山
「あ!鷹山うっすうっす!!」
「あのね、インターハイの組み合わせ出たんだけど初戦から好カードだよ」
もうそんな季節か。今年は連覇がかかっているインターハイは絶対落とせないと
チームも盛り上がってたところだ。
「んで、相手は?」
千歳は興奮気味に
「なんとですねー去年の準優勝校!愛知の栄学園!」
トーナメント表を確認する。
いつか当たると思っていた。
それが俺のデビュー戦になるとは・・・
「あれ二人とも知ってるの?」
千歳は知らないのか。俺と鷹山が通ってた中学は栄学園の中等部だったことを
「あぁ僕らこの学校の中等部出身だからね。知り合いもいるし」
鷹山はなんのためらいもなく話す。
「俺、フランスから帰ってきてから思ったけど日本のレベルも大したことないなぁ。って。どうせやるなら強いところがいいんだよね〜。でもここ将基がいるらしいよ。」
将基・・・俺ら三人の中学時代のチームメイトだ。
「あぁいたな。なつかしいなそんな奴」」
「どこが相手でも叩きのめす。それだけだよね翼?」」
鷹山の発言で俺は我に返った。
そうだ。あっちでのことは捨てたんだ。
するとチャイムが鳴り千歳は
「そんじゃ!また部活でなー!」と言い残し
風のように去っていった。
「あの人はだれ?」
絵梨花は初めてか。
「あいつは桜庭千歳。中学時代からの知り合い。」
「そんで、翼 鷹山君と同じ男子イケメン三銃士なんやで」
「イケメン三銃士なんて呼ばれてるんだ翼」
「勝手に言われてるだけ。七瀬も言わなくていいから。」
そんな会話をしていると授業が始まった。
「あ〜サッカーしてぇ」
苦痛でしかない授業をなんとか乗り切った。
放課後
「じゃぁ部活がんばってね鷹くん」
「ありがとう。がんばるよ。麻衣も気を付けて帰りなね!終わったらLINEするよ。」
「待ってるね!」
鷹山と白石は俺のアシストもあり付き合い始めた。
俺からしたら遅いくらいだ。白石のアピールに全く気付いていなかった鷹山の鈍感さは
彼の唯一の弱点なんだなと感じた瞬間でもあった。
ちなみに俺は
「おーい西・・」
バチン!と頭をたたかれた。
「今、西野って呼ぼうとしたやろ!いい加減七瀬呼び慣れぇや!」
あぁまたやってしまった。意識してないと前の癖で苗字呼びをしてしまう。
「ごめんて。帰ったら電話するから!」
「もう!けがせんようにな!ファイトやで翼!」
まったく・・かわいいなぁ
鷹山達とほぼ同タイミングで俺は七瀬と付き合い始めた。
前から意識してたとはいえいざ彼女になるとこっぱずかしい感じもある。
ちなみに俺が告白した。
二人と別れ部活へ向かう途中
「インターハイ開催地愛知か。しかも相手が栄学園って。完全アウェイだな。
俺ら悪役だな完全に。なんも言わずに転校したし。」
「どうかな?少なくとも将基は怒ってるかもね。あと明音と愛李は」
「怒るよりもあきれてるかもな」
「そうかもね」
「まぁなるようにしかなんないよな。」
そういいながら今日も部活に精を出す。

シベリアス ( 2018/04/26(木) 00:56 )