15話
次の日、今日の体育の時間は、体育祭が1週間後に迫っていることもあり、体育祭の競技の練習の時間にあてられた。
男女混合二人三脚に出場する人は、ペアごとに練習をすることになったが、昨日ペアを聞き逃してしまったため、辺りを見渡しペアを探していると、声をかけられた。
「海崎君よろしく!」
声をかけてきたのは、土生瑞穂だった。土生は中性的な整った容姿とスタイル良さから男子からだけでなく、女子からも人気がある。土生を彼氏にしたいと女子が言っているのを何度か耳にしたことがある。
「土生さんよろしく」
「瑞穂でいいよ」
「え?」
「名前、瑞穂って呼んでよ。土生さんだと距離感じるし」
「わかった。じゃあ湊でいいよ」
「おっけい!じゃあ練習しよっか!」
お互いの足首に紐を巻き付け、二人三脚の練習を始めた。最初はテンポを合わせ歩くことから始め、徐々にスピードを上げて練習をした。ある程度のスピードで走れようになったので、一旦紐をほどき、少し休憩することにした。
「いい感じだね!」
「そうだな」
「そう言えば、湊この前ねると遊びに行ったんでしょ?」
「瑞穂がなんでそれを!?」
京介たち以外誰にも言ってなかったので、少し動揺してしまった。
「ねるから聞いた。どうだった?」
そういえば土生は長濱の親友だった。
「どうって、楽しかったよ」
「そうなんだ。ねるが楽しそうに話してたから気になったんだ」
この前遊んだことを土生に楽しそうに話す長濱を想像すると、愛しく思えた。
「なにニヤニヤしてんの?」
「い、いやなんでもない」
「湊はねるのことどう思ってるの?」
「どうって…」
沈黙になってしまった。
「いじわるな質問してごめん。答えはどうであれ、ねるのこと真剣に湊が考えてくれてるのは伝わったから」
「お、おう」
「でもね、ねるのことを泣かせたり悲しませたら許さないからね」
「わかった、約束する」
「いい返事だ。じゃあ練習の続きしよっか!」
もう一度お互いの足首を紐で結び練習をを再開した。土生の男前な一面を見て、女子が土生を彼氏にしたいと思う気持ちが少しわかったような気がした。