11話
その日の夜、祐希と一緒にリビングのソファーに座り、テレビで映画を見ていた。映画を見ていると、スマホにLINEが届いた。送り主は長濱だ。
【いつ遊びにいきますか?】
スマホのロックを解除し、文字を打つ。
【今週の土曜日とかどうかな?】
「お兄ちゃん誰からのLINE?もしかして飛鳥ちゃん?」
返信を送っていると、祐希がニヤニヤしながらスマホを覗き込んでくる。
「違うよ。てかべつに誰だっていいだろ」
そう言ってスマホ隠そうとしたが、あっけなく祐希にスマホを奪われてしまった。
「長濱ねる?お兄ちゃんまさか彼女できたの!?」
「できてないわ。ただの友達だし…」
「お兄ちゃんやっと飛鳥ちゃんのこと諦めたんだ」
「急になんだよ。今、飛鳥は関係ないだろ」
「お兄ちゃんは隠してるつもりだったんだろうけど、バレバレだったからね」
この前の遠足で堀にも言われたが自分はそんなに分かりやすかったのだろうか。
「まぁでも飛鳥ちゃんにはあの成瀬先輩がいるもんね」
「だから飛鳥はそんなんじゃねぇよ」
「お兄ちゃん長濱って人から返信来たよ。私が返信してあげようか?」
「やめろ、いいから返せ」
祐希からスマホを取り返し、画面を見る。
【いいよ!どこ行きますか?】
その後もLINEでやり取りを続け、駅前のショッピングモールに行くことになった。長濱から【おやすみ!】とLINEが来たので、【おやすみ】と返した。祐希はお風呂に入ったので、リビングで1人テレビを見ていたが、飛鳥と妹の祐希以外の女の子と2人で出かけたこともなかったので、緊張なのかソワソワしていた。
「お兄ちゃん何ニヤニヤしてんの?長濱さんのことでも考えてたの?」
「祐希!?いつのまに出てたの?べつにそんなこと考えてないよ」
「そう?まぁいいやおやすみ」
祐希はニヤニヤした顔でこちらを見ながら二階の自分の部屋へと上がっていった。