2章
9話
次の日の朝。下駄箱で靴を履き替えていると長濱に声をかけられた。

「おはよう、海崎君」

「あっおはよう、長濱。そうだ、これ昨日ありがと」

そういって小さい紙袋を長濱に渡した。

「そんな急がなくてもよかったのに。それにお菓子までわざわざ」

「いや、まじで昨日はありがとう」

「どういたしまして」

長濱と二人で教室へと向かった。

「あのさ、海崎君」

「ん?どうした?」

「今度もし良かったら、2人で遊びに行かない?」

「2人で?」

「うん・・・」

長濱を見ると少し頬赤くしている。

「いや、無理にとは言わないからね。もしよかったらなんだけどね」

少し考えてから答える。

「いいよ、どっか行こうか」

「え?本当に!?やった!!」

長濱の声が廊下に響く。廊下を歩いていた人が一斉にこちら向く。それにとても恥ずかしそうにしている長濱を見て、なんだかとても愛おしく感じた。

「じゃあとりあえず連絡先交換しよう」

「そういえば知らなかったね」

携帯の画面にQRコードを表示し、連絡先を交換した。

「じゃあまた詳しいことは、LINEで決めるか」

「そうだね!」

教室に着き、席が離れているため、小さく手を振って長濱とは分かれ、自分の席へと向かった。

「あれ〜湊君。なんで長濱さんと一緒なのかな?もしかして!?」

席に着くと、ニヤニヤしながら京介はこちらを見てくる。

「おまえ声でかいんだよ!たまたま下駄箱で会って、昨日のタオル返した流れで教室まで一緒に来ただけだよ」

「ちぇっ、なんだそんだけかよ。おもねぇーの」

そう言って京介が自分の机に突っ伏して寝始めたので、鞄から荷物を取り出し、机にしまっていると、横から視線を感じたので、そちらを向くと、飛鳥と目があった。

「飛鳥どうかした?」

「べつに…」

「なんだよ、言いたいことあるな言ってくれよ」

「昨日はあんなこと言ってたけど、やっぱ嘘だったんじゃん」

「なにが?」

「ねるのことそんな風にみてなかったんじゃないの?」

「嘘なんてついてないよ」

「あっそ」

そう言うと飛鳥も机に突っ伏して寝始めた。

『なんで飛鳥が機嫌悪くなんだよ。意味わかんねぇ』

そんなこと心の中で思っていると、チャイムが鳴り、一日が始まった。




アゲハ ( 2019/01/08(火) 21:22 )