三ヶ月奮闘記
皐月ノ章
01
一ヶ月前、それは進級後初めてのHRの時間だった。

担任の教師の言葉で始まった、定番の自己紹介。僕はその時間が物凄く退屈で仕方がなかった。
女子に良い印象を持たれたいと必死に言葉を選ぶ男子、イケてる女子としてのスタートダッシュを切るために張り切る女子。こんな偽りの自己紹介なんか聞いて、楽しいわけがない。

だけどあの人は違った。自分の自己紹介を終え、ぼんやりと代わる代わる前に立つ人を眺めていると、彼女の順番に。
一ヶ月たった今も忘れない、忘れられない彼女の第一印象は『不思議』だ。

普通の人の自己紹介なら、趣味とか好きなこと、ものとか特技とか自分にとって+な情報を話すはず。でも彼女はいきなり、最近驚いた出来事について語り始めた。それも他の人の二倍くらいの時間を使って。
今思っても、彼女は変わっているとしか思えない。
でも話したいことを話し終えると、一年間よろしくお願いしますと言って頭をペコリと下げた。

その後だ。顔を上げた彼女が小さく笑ったのは。どんなに小さなカラットの宝石でも美しいと言われるのが、よくわかる気がした。


周りに聞こえるんじゃないかってぐらい早い鼓動と、鈍器で殴られたような重い衝撃。彼女の笑顔は僕にとってそれほどまでに破壊力があった。その笑顔は僕の心と体を一瞬で支配。
これが一目惚れか、と認識するのに時間はいらなかった。

これまで恋はたくさんしてきたけど、どれも比べ物にならない。小学校四年の時に同じクラスだったとても可愛らしい星野さん。六年の時に同じクラスだったピアノの上手な生田さん。中一のときの委員会で委員長をしていた橋本先輩。中二の頃に近所に引っ越してきた一歳年下の飛鳥ちゃん。
どれもこれほどまでに胸はときめかなかった。

現に、彼女以降に自己紹介した人は内容はもちろん、名前も顔もまった覚えていなかった。頭を埋め尽くしていたのは、彼女の天使の微笑み。

他のことなんてどうでも良かった。ただただ彼女の笑顔に僕は酔いしれていたんだ。



そんな彼女――志田愛佳さんは今、気持ち良さそうに数学の授業で眠っている。そのせいで、僕は授業に集中できない。あんまり彼女が可愛いから、ついつい見てしまうのだ……。

この授業は残り五分。さすがにマズイと思い、僕は彼女から目を離し、目の前に広がる大量の板書へと意識を移した。

■筆者メッセージ
どうも、今はもう卒業された松井玲奈さん推しめろんぱんと申します。小説を書くのは初めてですが、どうぞよろしくお願いします。

さて、タイトルに三ヶ月と書いてあり、皐月ノ章としたことからわかるかもしれませんが、この作品は非常に短いです。実際、高校生の恋愛はそんな長いものじゃないので。

ヒロインはとりあえず欅坂の神推し、志田愛佳さんです。番組最初の自己紹介の時点で一目惚れでした(笑)
またこの作品にはもう一人欅坂メンバーを出します。二番目に好きな人ですね。

短い作品を色々と書いていきますので、書いてほしい!というメンバーがいましたらお気軽にどうぞ。僕が好きなメンバーでしたら(笑)、書きたいと思います。
めろんぱん ( 2016/01/11(月) 00:25 )