全国大会
4回戦
3回戦に快勝した俺達は4回戦へと駒を進めることができた。
それだけに練習にも熱が入る。
次は再来週の試合で2週間間隔が開く。

正和「2週間は辛いな」
朝暉「ちょくちょく実践練習するしよくない?」
武太朗「でも先輩達だしなんか気が引けるよな」
朝暉「 先輩だし球際のところ強く行きにくいよな」(苦笑)
正和「俺はあんまり当たらないからね」

ニコニコしながら話をしていた。
この大会で厄介なのは決勝で当たった難波台高校とは決勝で当たる。
しかし順当に上がるとベスト8チームを5回、次の4回戦、6回戦、準々決勝、準決勝、決勝と倒していくことになるのでかなりタフな試合になるだろう。
正和のパスセンスが要求される事は間違いない。
正和のパス次第で勝つか負けるかが決まると言っても過言ではない。
そしてコンディションを確り調えて4回戦に臨む。
相手は大阪学院、総体ではベスト4迄行っていた。
正和達が入る前までは因縁のライバル関係だったそうだ。←(キャプテン談)
尚更負けられない。←(全部負けられないだろ)
しかし試合が始まると一方的な展開だった。

前半3分正和が朝暉にロングパスを出すとそれに反応した朝暉が頭でコースをずらすとキャプテンが右足を振り抜いて先生ゴールを挙げるとその後も攻め続ける。

前半8分にはゴール左30mでのFKを無回転でゴール右下に決めると朝暉も黙っていなかった。

前半16分には朝暉がドリブル突破するとヒールリフトでキーパーを交わしてインサイドで流し込む。

前半25分には朝暉のシュートのこぼれ球を正和が右足のインサイドで外し左足で豪快にミドルシュートを捩じ込み4ー0と大差をつける
その後前半28分に正和のロングパスがそのまま朝暉に渡るとダイレクトでオーバーヘッドシュートをゴール右隅に決めて5ー0として前半を終える。

正和「相手シュート打ってたか?」
朝暉「いや、打つチャンスでも打ってなかったよ」
彩「シュートは0本やで?」
正和「だよな」
武太朗「取り敢えず後半残り時間少なくなってこの点差なら大希を出すかもな」
正和「て事は俺の交代かトップと交代して朝暉のワントップで大希と俺のボランチかな?」
キャメロン「正和、朝暉、武太朗、大希」

俺達は呼ばれて先生の所に向かう。

キャメロン「後半からはトップを変えて大希と正和のダブルボランチ、朝暉のワントップで行く、大希は初めてだから正和と武太朗でカバーよろしく」
正和「はい!」
武太朗「勿論です」

俺達は大希が出ることに対して不信感は全くない。
俺達の将来四天王の1角として活躍する選手だろう。

正和「大希、手と足が一緒になってる」(笑)
大希「ご、ごごごごめん」
武太朗「緊張すんなよ…って言っても無理か」(苦笑)
正和「大丈夫、カバーするから思いっきりやれ」
彩「どないしてん?」
正和「大希が出るらしい」
朝暉「大希、ユニフォーム裏返し」(苦笑)
大希「あ!すいません」
正和「今日、由依も来てるな」

そうやって指した先には由依と遥香が座ってこちらを見ていた。
正和は大希が出るとジェスチャーで指すと由依は大きくバツ印を出していた。
正和は自分の左胸を2、3回叩いて由依に向けると不安そうな表情を浮かべていた。
そして後半が始まる前に大希が交代してピッチに入ってきた。

正和「よっしゃ!大希頑張るぞ!」
キャプテン「行くぞ」
『おし!』

後半が始まって緊張わほぐすために大希にボールを集めながら攻める。
後半19分には大希からのパスに反応した朝暉が後ろからのパスを左足ボレーで合わせてネットを揺らす。
その後26分にはFKを正和が決め、7ー0と快勝していた。

正和「大希、良くやってくれた!」
大希「お、おう!」

大希はパスの感覚を覚えたのか後半はどんどん積極的にパスを出す事をしていた。

朝暉「途中良かったな」
正和「あそこで朝暉は全く頭に無かっただろうな」(笑)
朝暉「俺もテンパったからボレーしたけどあれはビビったわー」
彩「そういや来月の体育大会と文化祭あんねんけどどうすんの?」

俺達の学校は部活事に出し物をしないといけないらしい。

正和「しなくて良くね?」
彩「アホちゃう?」
美優紀「せぇへんかったら自宅謹慎やで?」
正和「変なところで校則厳しすぎるやろ」(笑)
朝暉「部活動で全国制覇したら死刑だって」(笑)
正和「はあ?(笑)訳わかんないわ」(笑)
武太朗「世界大会に出たら地球崩壊」(笑)
正和「ふざけんなよ」(笑)
キャメロン「禿げたら俺の仲間や」
正和「禿げるか!」(笑)
朝暉「キャメロンがぶっこんできた」(笑)

俺達が強いのはこの先生のおかげだと確信した。
厳しいだけではなく優しい所もある。

正和「取り敢えず学校で練習ですか?」
キャメロン「1年だけな」
正和「ヨッシャー!」
大希「盛り上がるの正和だけだろ?」
『どーかん』

その後俺達は学校に戻り練習をした。
いつも通り走りと筋トレ、技術トレーニングのみだったものの鬼軍曹正和のお陰で大変収穫のある練習だった。
ここで正和は全員に課題を出した。
今年いっぱいまでに全員リフティング1000回、を課題として出した。
正和はリフティングは余裕で10000回は行く、朝暉は8000回、武太朗は9500回は行く。
正和の意図からしたらリフティング1000回は15分程で出来る。
しかし800回を超えたあたりからのリフティングを見たかった。
なぜならきつい時に集中しているのかだった。
更に無理難題を出来るのか、出来るのにどれだけの努力があったのかを知りたかった。
努力出来る人はとことん伸ばす方法の正和だからこその試験だった。
その意図を理解出来る人は少ないだろう。

正和「俺の意図察してくれるかな?」
朝暉「どうかな」
彩「何人出来ると思う?」
正和「30人は出来ないといけない」

再来週の5回戦に向けて俺達は突き進む。


VBP ( 2016/09/28(水) 02:37 )