AKBの執事兼スタッフ 2 Chapters











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第8章 48or46
67 Storys 〜ケジメ〜
48グループの役員から辞令を言い渡された翌日、晃汰は徳長と今野に役員と話した事実を包み隠さず話した。

「そっか…辞令ならしょうがないな…」

今野はいよいよか、といった表情を浮かべて天を仰いだ。彼の隣に座る徳長は俯いたままだ。

「なので、この一週間はソロメンバーと一対一で同行させてもらいたいです。最後にどうしても、伝えたくって…それと、メンバーには内緒にしておいてください」

目元を指の先で擦るクセが出始め、晃汰は二人の顔を見比べた。

「わかった、必ず配慮する」

徳長は赤い目で晃汰に誓った。彼は嬉しそうに頷くと、二人に頭を下げて部屋を出て行った。

「急ですね」

徳長が漏らす。

「人事ってそんなもんだよ」

今野は苦笑いを浮かべ、吐き捨てた。

「メンバーには内緒にしてくれか、アイツらしいですね」

後輩のケジメに、徳長は思わず目元を押さえた。その肩を今野が叩いた。

翌日から、晃汰の同行は始まった。 初日の相手は梅澤だった。

「晃汰さんが私の同行って、珍しいですね!」

晃汰の前では乙女全開の梅澤が、晃汰の運転する86の助手席で騒いでいる。

「朝からずっと煩えのな。そんなんじゃ一日持たねぇぞ」

めんどくさがりながらも笑顔の晃汰は、彼女を乗せて撮影スタジオへと向かった。

170cmのスタイルを活かし、梅澤は次々にポーズを入れ替える。時にはCuteに、時にはSexyにポーズをとる梅澤を、晃汰は腕を組んで見守る。

「どうでしたか?今日の私」

次の場所への移動中、梅澤は例によって運転中の晃汰に自身の出来を尋ねる。

「良かったんじゃね?少なくとも俺は可愛いと思うけどね」

晃汰のその言葉以降、梅澤はすっかり静かになってしまった。ギアチェンジの際、晃汰は横目で彼女を見ると、そこには耳まで真っ赤にした梅澤がいた。

その後も雑誌の取材やモデルの撮影をこなし、夕方には梅澤ら3期生が住む借り上げのマンションに向かった。その道中、晃汰は異動の話を梅澤に打ち明けようと考えていた。

「なぁ、梅。俺さ、AKBに戻る事になった」

「え!?」

間髪入れず、梅澤は予想通りのリアクションをする。

「元々は留学生で来てるから、いつか戻らなきゃならない。俺も組織人だから、上の決定は絶対なのよ」

決まって冷静に晃汰は伝えてはいるが、対する梅澤は両手で顔を覆ってしまっている。

「ティッシュは後ろの席にあるぜ」

晃汰は視界を目の前から外さずに、梅澤に忠告をする。そんな彼の言葉も耳に入っていない梅澤の肩は、次第に小刻みに震えていく。

「ほら、着いたぞ」

マンションの下に真っ赤な86が停まり、晃汰は梅澤の肩にてを置く。その瞬間、シートベルトを外した梅澤が晃汰の首にすがりついた。

「嫌です、絶対嫌です!!」

泣き崩れる梅澤を冷静になだめ、晃汰は彼女に言い聞かせる。

「また何処かで会えるよ、こんな仕事してりゃさ。だからもう泣くな」

晃汰の言葉に梅澤は泣き止み、車を降りた。

「くれぐれも他の連中に言うなよ?騒ぎが大きくなるから」

そう言い残し、晃汰は86を発進させた。その後、梅澤が極秘裏に他の3期生に涙ながらに晃汰の事を言ったのは言うまでもなかった。

Zodiac ( 2019/06/01(土) 23:15 )