AKBの執事兼スタッフ 2 Chapters











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第6章 東京ドーム
53 Storys 〜酒乱〜
 衛藤たっての願いが叶い晃汰と白石、それに個人仕事を終わらせた松村と秋元、キャプテンの桜井が集結した。 錚々たるメンバーの顔を見渡し、晃汰は衛藤に尋ねた。

  「衛藤センパイ? 私、今日で死ぬんですか・・・?」

 ギタリストの憐みの表情に、衛藤は更に機嫌を良くしてしまった。 

  「じゃあ、明日から東京ドーム頑張りましょうということで、乾杯!!」

 晃汰の左隣に座る幹事役の衛藤の声とともに、グラスの重なり合う音が響く。 晃汰はお決まりのカシスオレンジを飲んでおり、周りの連中はビールやカクテル、サワーなど好き好きに飲んでいる。 

 駅前から少し入り組んだ場所に位置する、焼き鳥をメインとした店で6人は盃を交わしている。 カウンター席にテーブル席が二つほどの小さな店だが、女性でも入りやすい外内装に、豊富な食事とドリンクのメニューが眼を引く良い店である。 なんでも衛藤の行きつけの店だとかで、店長とも顔見知りということは、本人の口から晃汰が聞き出した。

 酒が入るとテンションが高くなる者、笑う者、泣き上戸になる者・・・ そのうちのどれかに当てはまっているであろう6人は、健全に楽しい酒を飲んでいる。 

  「丸ちゃんはさ、もし付き合うんなら誰と付き合いたいん?」

 高いテンションは酒のせいにした松村が、鳥皮を頬張った晃汰に問うた。 飲み込もうとした肉をむせ返しそうになりながらも、彼は口元を押さえて松村の眼を見る。

  「同僚をそういう『いやらしい目』で見ていないので、何とも言えませんね。 強いて言うなら、今付き合ってる彼女と付き合いますよ」

 少し惚気の入った晃汰の回答に、松村は歯を食いしばって彼を横目で睨み付けた。 その様子を彼女の隣に座る白石が宥め、そして晃汰の左腕に衛藤は絡みついた。

  「え〜? 美彩と付き合うっていう話はどこにいったの〜?」

 随分とアルコール摂取量が多めな衛藤は、同僚メンバーでも若干の苦笑を浮かべるほどのスキンシップを披露した。 対する晃汰は心底迷惑そうな表情を浮かべ、右隣に座る桜井に助けを求めた。 

  「ほら美彩、私のとこおいで」

 晃汰と桜井は席を入れ替わり、衛藤は座ったばかりの桜井にしがみついた。

  「これだからお色気担当は・・・」

 晃汰は解放された喜びから、半分以上残っていたカクテルを一気に飲み干し、おかわりを注文した。 その飲みっぷりに触発され、彼の眼の前に座る秋元は日本酒を注文したのだった。 


Zodiac ( 2018/08/27(月) 21:39 )