AKBの執事兼スタッフ 2 Chapters











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第2章 まどかデイ
4 Storys 〜バースデイ・イヴ〜
  「よっしゃ終わったー!!」

 AKS本社の会議室で、書類にまみれた晃汰と京介が同時に叫ぶ。 彼らは三日三晩、この膨大な資料に眼を通し、わかりやすくまとめて書き出すという作業をこなしていたのだ。 この仕事を早く終わらせようとしていたのは、彼女の誕生日が迫っている滉太ではなく京介だった。 弱音や愚痴を一言も吐かない晃汰の横顔を見て、一刻も早く晃汰を博多に送り出してやりたい一心で仕事をしていたのだ。

  「悪い、京介。 俺・・・」
  
  「分かってるよ。 気を付けて行って来いよ」

あえて晃汰に目的を言わせずに、笑顔で彼を京介は博多へと送り出す。 晃汰も安心しきった笑顔を京介に向け、少しの荷物を持って背中を向けた。 晃汰が仕事をしていたスペースを京介はヒョイと覗いた。 京介がいたところから死角となるところに、晃汰が飲み干したであろうエナジードリンクの空き缶が、幾つも潰されて置かれていた。 そんな親友以上の彼の労を労いながら、京介はその空き缶を拾ってゴミ箱に分別して捨てた。

  「外の方が適正温度だよ。 どんだけ会議室寒かったんだよ・・・」

 もうすぐ8月になる夏の夜の風を受けながら、晃汰は最寄りの秋葉原の駅へと急いだ。秋葉原から東京に行き、そこで新幹線に乗り換えて博多まで行こうと考えている彼は、必要最低限の荷物が入った肩掛けバッグを持っている。 カジュアルな出で立ちの少年が深夜の京浜東北線に飛び乗っても、夢うつつなサラリーマンにはどうでもいいこととして片付けられている。 額に浮かんだ汗をハンカチで拭いながら、晃汰は新幹線の時刻を調べた。 ちょうどいい時間の新幹線があることを確認すると、次に博多駅周辺のビジネスホテルを調べた。 手ごろなホテルに目星を付けた時、電車内のアナウンスは下車予定の駅名を告げる。 ポケットにスマホをしっかりとしまい、新幹線の改札に向かって小走りで急いだ。 

 乗車前に自販機で買ったジュースで乾いた喉を潤し、スマホを取り出してまどかの弟の浩樹にLINEでメッセージを送った。 初めて森保家にお邪魔した時に意気投合し、連絡先を交換するほど仲良くなってしまった。 それから何かと連絡を取り合うようになった。 今は、まどかが起きているかどうかを訊く為にメッセージを送ったのだ。

  「まだ起きてますよ。 今1人でリビングでTV見てますよ」

5分も経たないうちに、浩樹からこう晃汰のスマホに返信された。 それに対するそっっ直な気持ちと、晃汰自身が博多に向かっていることはサプライズであることを浩樹に晃汰は伝えた。 是非自分も1枚噛みたいとの旨を浩樹が送ってきたので、作戦を細かく説明して、一旦会話は終了とした。 

■筆者メッセージ
久し振りの投稿ですね・・・汗
本当はまどか誕生日のその日に投稿しようとしてたんですけど・・・
Zodiac ( 2014/07/29(火) 18:05 )