AKBの執事兼スタッフ 2 Chapters











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第1章 Select future
1 Storys 〜次世代〜
 晃汰が決意を新たにした夜、同じ空の下で彼を想う人物がいた。 遠い博多の地で、東京の恋人を想って眠りについている。 そんなことを知る由もない晃汰は、毎日と同じ様に翌日の準備をしてベッドに入るのであった。

 翌日の朝、昨晩に引き続き珍しく家族4人で朝食をとり、それぞれ仕事と大学に向かった。 閉ざされた扉に向かって寂しそうに鳴く猫をじいやが抱き上げ、餌を与えた。 

  「へ〜。 おじさん達、こっちに戻ってこれたのか」

 今日の仕事は、新しいアルバムに収録される新曲をメンバーと一緒に考えることで、メンバーが集まるまでの時間を、京介に昨晩あった事を晃汰は話している。 晃汰の両親を京介はもちろんよく知っていたから、自分の事のように嬉しそうに京介ははにかんだ。 一方の晃汰は京介とは対照的な浮かない表情をしている。 それもそのはずで、家業を継ぐという選択肢を蹴ってこちらの道を選んだ事が、今になって間違いではないのかと心配になってきたのだ。

  「そんなもん、行き当たりばったりだろ。 どっちを選んだって、そういう気持ちにはなるよ・・・」

晃汰の心情を聞き、慰めるように京介は言った。 実際、京介自身もいずれはそのような選択を迫られる時期が来る事は分かっているし、避けては通れないことも充分に分かっているつもりであるのだ。 そんな心の暗雲を払いきるかのように、晃汰は徐にスティックを手に取り、8ビートを刻み始めた。 それに京介がコードをのせ、セッションと化していた。 同じタイミングでセッションを終えると、2人の顔には自然と笑顔が溢れた。 幼い時からこうやってどんな壁も越えてきた・・・ 今の2人の腹の中には、この思いだけが駆け巡っているだろう。

 やがて第6回総選挙の上位16人が続々とスタジオに顔を現し、定刻よりも早く会議を始めることができた。 

  「今回のこの曲は、秋元さんから全部任されてます。 細かい部分は僕と京介で作るので、大方のメロディとか歌詞は皆さんに作って頂こうと思ってるんですが・・・」

伺いを立てるように椅子に座ったメンバーを見渡しながら、晃汰は指を絡ませた。 少し考えた顔を浮かべるメンバーの中から、賛同の声が上がり始めた。 最後はたかみなが結論を出し、続いて曲のイメージを皆で考えるフェーズに移った。 ここでの話し合いは壮絶なものだった。 各々が自分の音楽性を主張するものだから、決まるものも決まらなかった。 だが、なんとか皆が折り合いをつけ、 明るい感じのロックチューン というテーマで最終決定した。 

 まだスタジオのレンタル時間は余るほどあるのだが、数人のメンバーが撮影や収録の為にどうしても席を外さなくてはならなくなった。 そこで、残った数人と執事2人で粗方のメロディ作りをすることになった。 ラッキーなことにかつてはガールズバンドで活躍していた山本が残っていたから、晃汰と京介は話の分かる人間がいてくれてホッとしている。

■筆者メッセージ
お久しぶりです! 今回から質の低い三人称で書きます どうか温かい目で読んでやってください・・・
Zodiac ( 2014/07/12(土) 18:01 )