07
奈和と別れ、一人で帰路についていると、横に公園が見えた。
「・・・・楽しかった?」
後ろから、不意に声が聞こえた。
「綾巴・・・さん?」
振り返ると、そこには綾巴が立っていた。
「今日は何してたの?古畑先輩と楽しそうに話してたけど。」
なんと、友一が奈和と会った事を知っている。
「えっ?なんでそこまで・・・」
友一が聞いてみると、綾巴は落ち着いた表情で、
「たまたま見かけたんだ。あなた、横にいた子に“古畑”って言ってたでしょ。」
「見てたのか・・・」
「よかったらちょっと話さない?飲み物くらいならおごるけど。」
そう言って、綾巴は公園に入っていた。
◇
「どうぞ。」
綾巴は、友一が阿弥と別れた時と同じココアをわたして来た。
「ありがとう。」
友一は一礼してココアを受け取ると、少し横にずれた。
「そういえば、今日何してたの?思い出がなんとか・・・って言ってなかった?」
どうしてそんなことまで知っているのか、若干謎だったが、気にせずこれまでの経緯を話した。
「それで、帰り道にここを通ったってわけ?」
「ああ。」
「で、どうだったの?思い出は見つかった?」
「見つかったっていうのかな?・・・わからない。でも・・・」
「でも?」
「・・・いや、なんでもない。僕の恋はここで終わり。」
この時、友一は阿弥に会うことに対して恐怖心を抱き、おじけづいてしまった。阿弥が女々しい自分を蔑むような目で見るという光景を想像するだけで耐えられなかった。だから阿弥のことは忘れることにしたのだ。
「いいえ、ここから始まるんだよ。」
綾巴のおかしな発言に、友一は違和感を覚えた。
「え・・・」
友一が綾巴のほうを向いた瞬間、友一は綾巴に押し倒された。
「・・・あなたを裏切った人のことなんか忘れればいい。」
「えっ、ちょっと・・・」
友一は口を塞がれた。