「親戚・・・?」
友一は全てを知った。あの日起こった本当の出来事を。
あの時阿弥と一緒にいた男。彼は阿弥の親戚で、月一で阿弥に仕送りをしていた。バイトができる余裕も能力もない阿弥にできる、唯一の援助だった。
その後、阿弥に友一という彼氏ができたことを祝い、家に帰る前に外食をおごり、彼女の幸福を祝った。
そして、阿弥の家に立ち寄り、仕送りを渡した後、彼女が寝ている間に家を出て行った。
その一部始終を見ていた人間が、写真を掲示板に貼り付けたのだった。
「そんな・・・それじゃあ・・・」
友一はこれほど自分の早とちりな性格を恨んだ事は無かった。すべて誤解だったのだ。奈和が言っていた通り、援交なんて真っ赤な嘘だったのだ。
頭が真っ白になっていく。そして、完全に“無”になった瞬間、ひとつの決意が芽生えた。
―阿弥に会いに行こう―
HRが終わるか終わらないかくらいのタイミングで、友一は勢いよく教室を飛び出した。
「牧野君・・・」
その様子を見ていた奈和は、迷わず彼を追う事に決めた。
さらに、この二人も・・・
「あいつ、ぜってー何かあったって!」
「追ってみようぜ、木嶋!」
奈和に続き、常夫と洋祐も教室をあとにした。
◇
「ハァ、ハァ・・・どこだ?どこにいるんだ?」
友一はただひたすらに、阿弥を探した。まるで、我が子を探す親のように。
映画館、ショッピングセンター、商店街。心当たりのある所はすべて探した。
「ダメだ・・・いない・・・」
膝に手を付き、息を切らして途方にくれていると、視界の端に、靴を履いた足が見えた。
「・・・・?」
友一が顔を上げると、そこには・・・
「阿弥・・・」
今まで突き放し、拒絶していた人が立っていた。
「阿弥、ごめ・・・」
「やっぱり私のこと、何も分かってくれてなかったんだね。“牧野君”・・・」
友一には何も言わせない。そう言わんばかりに話を遮った阿弥。そして後ろから、
「お前ひどいね。こんなにお前のことを信用してくれてたのにさぁ。」
と、聞き覚えのある声がした。顔を上げると・・・
「北川・・・どうして・・・」
紛れもない。雄伍がいたのだ。
「お前に彼女は合わないんだよ。行こう、阿弥。こんな奴のことなんか、とっとと忘れようぜ。」
と言って、肩を組むように阿弥を連れ帰った。
長い沈黙が続いた。そして、
「うっ・・・うわあああああああああああっ!」
何を思って叫んだのか、それは叫んだ本人である友一にもわからない。しかし、彼の叫び声は、街中にこだました。
それと同時に、雨が降りだした。








