暗転
07
「親戚・・・?」

友一は全てを知った。あの日起こった本当の出来事を。

あの時阿弥と一緒にいた男。彼は阿弥の親戚で、月一で阿弥に仕送りをしていた。バイトができる余裕も能力もない阿弥にできる、唯一の援助だった。

その後、阿弥に友一という彼氏ができたことを祝い、家に帰る前に外食をおごり、彼女の幸福を祝った。

そして、阿弥の家に立ち寄り、仕送りを渡した後、彼女が寝ている間に家を出て行った。

その一部始終を見ていた人間が、写真を掲示板に貼り付けたのだった。

「そんな・・・それじゃあ・・・」

友一はこれほど自分の早とちりな性格を恨んだ事は無かった。すべて誤解だったのだ。奈和が言っていた通り、援交なんて真っ赤な嘘だったのだ。


頭が真っ白になっていく。そして、完全に“無”になった瞬間、ひとつの決意が芽生えた。

             ―阿弥に会いに行こう―

HRが終わるか終わらないかくらいのタイミングで、友一は勢いよく教室を飛び出した。

「牧野君・・・」

その様子を見ていた奈和は、迷わず彼を追う事に決めた。

さらに、この二人も・・・

「あいつ、ぜってー何かあったって!」

「追ってみようぜ、木嶋!」

奈和に続き、常夫と洋祐も教室をあとにした。


                   ◇


「ハァ、ハァ・・・どこだ?どこにいるんだ?」

友一はただひたすらに、阿弥を探した。まるで、我が子を探す親のように。

映画館、ショッピングセンター、商店街。心当たりのある所はすべて探した。

「ダメだ・・・いない・・・」

膝に手を付き、息を切らして途方にくれていると、視界の端に、靴を履いた足が見えた。

「・・・・?」

友一が顔を上げると、そこには・・・

「阿弥・・・」

今まで突き放し、拒絶していた人が立っていた。

「阿弥、ごめ・・・」

「やっぱり私のこと、何も分かってくれてなかったんだね。“牧野君”・・・」

友一には何も言わせない。そう言わんばかりに話を遮った阿弥。そして後ろから、

「お前ひどいね。こんなにお前のことを信用してくれてたのにさぁ。」

と、聞き覚えのある声がした。顔を上げると・・・

「北川・・・どうして・・・」

紛れもない。雄伍がいたのだ。

「お前に彼女は合わないんだよ。行こう、阿弥。こんな奴のことなんか、とっとと忘れようぜ。」

と言って、肩を組むように阿弥を連れ帰った。

長い沈黙が続いた。そして、

「うっ・・・うわあああああああああああっ!」

何を思って叫んだのか、それは叫んだ本人である友一にもわからない。しかし、彼の叫び声は、街中にこだました。

それと同時に、雨が降りだした。












■筆者メッセージ
次から新章です。今日また更新するかもしれませんが、できなかったら申し訳ないです。
darkhero ( 2014/05/24(土) 16:33 )

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