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帰り道・・・
「ねぇ、友一君。」
阿弥が突然話しかけて来た。
「何?」
友一が返事すると、こんな事を問いかけてきた。
「私たちさ・・・本当に付き合ってるのかな?」
「どういう事?」
友一が尋ねると、阿弥は、
「普通、恋人っていつも一緒にいるでしょ?でも、私たちはあんまり二人でいることがない。それどころか、顔を合わせることもあんまりない。それで、本当に“付き合っている”って言えるのかな・・・」
と言った。
確かに、クラスが別々で、部活の影響で普段の帰宅時間まで違う。こんな悪条件では確かに会えない。
「僕だって阿弥には会いたい。でも、予定が全然合わないから・・・」
友一は必死で弁解した。すると、
「・・・そっか、そうだよね・・・ごめん。」
意外にもすんなり受け入れてくれた。
「それよりもさ、明日の野木のライブ、成功するかなぁ?」
友一が話をそらすと、阿弥は
「そういえばそうだね。本人は自信満々だったけど・・・」
とつぶやき、夜空を見上げた。
空は満天の星だ。友一も阿弥と同様に空を見上げた。
「ねぇ、友一君。」
不意に、阿弥が友一を呼んだ。
「ん・・・んんっ!?」
「どうした?」と聞こうと思い阿弥のほうを見た時、彼女が急に顔を近づけ、唇を合わせてきた。
柔らかくて、優しい感触。なんの前触れもなくいきなり、しかも阿弥の方からだったが、それがいわゆる“ファーストキス”というものになってしまった。
キスというのは、それらしいムードの中で、男の方からするものだと思っていた友一は少なからず惜しい気持ちだったが、それでも阿弥とこんな事ができる関係になったことに関しては、正直嬉しかった。
「急にゴメン。なんか、星を見てたらやってみたくなってさ。」
と言って笑った。
「それじゃあ、また明日。ライブ、成功するといいね。」
「え?ああ。そうだね・・・」
先程のキスの衝撃が少し残りながら、友一はぎこちなく答えた。
星空ののなか夜道を歩いて行く彼女は、本当に天使のようだった。