「あ・・・ごめん。」
友一はパンを持って出ていこうとした。すると、
「別に大丈夫だよ。なんなら一緒に食べない?」
その少女は弁当を胸の高さまで掲げた。
「えっ・・・いいの?」
友一は数ヶ月ぶりに肩を並べて食事をした。
そして、若干緊張気味ではあるが、少しばかり会話をした。
その少女は、柴田阿弥という名前で、いつもここで食事をとっているそうだ。ここまでは友一と重なる。しかし、ここからが違っていた。彼女はクラスに馴染み、一緒によくはしゃいでいるらしい。
「柴田さんって、なんでここで飯食うの?別に教室で食べたっていいのに。」
友一が尋ねると、阿弥は落ち着いた表情で答えた。
「いっしょにはしゃぐとは言っても、一緒にご飯を食べるほどじゃないし、ひとりでいるほうが気楽なんだ。」
「そうなんだ・・・」
友一は既に空になったパンの袋をガサゴソしながら答えた。
「フフッ・・牧野くん、袋には何も入ってないよ。」
阿弥が友一の手元を見ながら笑っている。
「あ、ああ・・・そうだった。へへへ・・・」
今まで女子とこんなまともに会話したことなんて無かったので、緊張して会話以外のことが頭に入らなくなっていた。適当に心の中で言い訳をして、袋を丸めた。
「あ、そういえばもう授業だね。それじゃあ、また。」
と言って階段へ消えていった。
「・・・・・」
友一は何も言わなかった。しかし、なぜだか複雑な気分だった。










