02
(……そういえば使ったことないなぁ)
当たり前だけどここに私が来ることはほとんど無かった。
だからお手洗いも使った事は1度も無い。
(ちょうどしようかなと思ってたし、最後に使ってみようかな)
そう思い、入ってみる。
電気は消えてたけど、入口にスイッチがあった。
明るくなり、個室が3つあるのが確認できた。
もちろん誰もいないから鍵もかかっていない。
1番手前の個室に入る。
(カチャン……)
鍵をかけて。
(ス、スルル)
スカートを腰まで上げて、パンティを膝まで下げる。
(カタタン)
スカートを上げたまま、便座にそのままお尻を乗せる。
(チョロッ……チョロロロシュウウウウ)
誰もいないお手洗いに私の用を足す音が響く。
マネージャーさんもここに居るなんて思わないだろうなぁ。
それにしても、私、本当にファンの人が使うトイレで用を足してる。
でも、気持ち良いなぁ。
(まさか、アイドルが使ったなんて夢にも思わないだろうなぁ)
女の子のファンの方だけになるけど、私の中では不思議な形だけど繋がりを持つことが出来た。
さすがに立って出来ないから、男の人の方では無理だったけどね。
(チョロ、チョロロロロ)
ふぅ、スッキリした。
(カラカラカラ……)
ペーパーを巻き取り。
(シュッ、シュッシュ)
右手で大切な所についた滴を拭き取る。
一度ペーパーを取り出して、お尻を少し浮かせてお尻の滴を拭き取る。
立ち上がり、パンティを着け、スカートを元に戻す。
(ジャアアアァァ、カチャン)
水を流して、個室から出る。
手を洗って、電気を消してっと。
舞台裏に戻り、マネージャーさんに連絡する。
「こっちゃん遅かったね、大丈夫?」
マネージャーさんが電話口で心配してくれた。
「大丈夫です、最後の感慨に耽ってたというか、そんな感じです!」
「そっか、駐車場で待ってるからね!」
「はい、すぐに行きます!」
そう伝え、通話を終える。
駐車場への通路に向かおうとして、ふと立ち止まる。
一度劇場のステージの方に体を反転させて。
「今までありがとうございました」
そう呟き、私は劇場を後にした。