8.仲村和泉
01
「はい、いいね〜!」

カメラマンさんの声が響くスタジオ。

私の名前は和泉

名古屋が本拠地のアイドルグループ、SKE48に所属していて、今日は朝から仕事中。

今、ここで撮影をしてもらっている。

いわゆるグラビアの撮影

「オッケ〜、朝からお疲れ様、一旦休憩してください!」

カメラマンさんからそう伝えられた。

「ふぅ〜」

「いずりん、お疲れ様!」

身体を冷やさないようにタオルを巻いていると、同期の佐藤佳穂ちゃんが声をかけてきた。

私はいつも彼女のことを佳穂って呼んでいる。

同期と一緒の撮影だから、寂しくはないんだけどね!

「うん、佳穂もお疲れ!」

そう言って2人で待機スペースにあるパイプ椅子に座る。

公民館とかで見るような茶色の机のちょうど真ん中辺りに、お菓子や栄養食品の入ったカゴが置いてある。

「ふぅ、いっただっきまぁ〜す」

佳穂は、真っ先にお菓子に手を伸ばした。

(シフォンケーキかぁ、美味しそうだなぁ)

思わず見つめてそう思っちゃったからなのか。

(グ、グゥゥゥゥ)

私のお腹が鳴り、遮るものもないのに反射的に両手でお腹を押さえる。

「あっ……」

「いずりん、朝抜いてきたの?」

「うん、私って食べたらすぐ身体に出ちゃうタイプだからさ〜」

「そっか、飲み物で乗り越えるタイプ?」

「うん、まぁね。」

本当は飲み物だけじゃ足りない。

お腹ペコペコな感じは抜けないままだった。

多分ここからお腹の虫は声を出し始めるんだろうなぁ。

でも、終わるまでの辛抱だもん!

ひとまず目の前にあったミネラルウォーターのペットボトルを一気飲みする。

「大丈夫?そんなに一気飲みして。」

「うん、大丈夫だよ。」

(お腹の中が水で満たされたら、少しはマシよね)

そう思ったのが甘かったと、この数十分後に知る羽目になる。

■筆者メッセージ
実際、グラビア仕事の前は朝ごはんを抜くメンバーが多いそうですね。

体調管理も大変そうです。
K ( 2021/03/15(月) 17:15 )