01
それは、俺が中学二年生の頃。
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「今日は晴れまくりだな〜。」
家を出た瞬間に、思わず俺はつぶやいてしまった。それほど今日の太陽は明るさを主張してきた。
雲一つない快晴。俺の心も自然と晴れ晴れする。
そして、始業式のために中学校へと向かう。
また新しいクラスになる。やっぱまた白石と同じになるのかな、なんてまるで運命を悟ったかのように考えていた。
登下校。
前のクラスのやつらが楽しそうに話してるのを見つけた。
「おはよ!」
俺はダッシュでその輪に突撃する。
「お、鳴海じゃん。おっは。」
「おはよ。今日から鳴海と違うクラスになるのか〜。楽しさ半減。」
そう元クラスメイトは感慨深そうに言った。そう言ってくれるのは素直に嬉しい。俺はみんなが楽しそうに笑ってくれてたら、それが幸せだった。
「まだ決まったわけじゃないだろ?また同じになったらよろしくな!」
そう言って肩をつかみグラグラ揺らした。
「分かった分かった。まじで朝からそのテンションきついよ。」
1人がそう言葉した瞬間、みんなから納得の笑いが起こった。
「うるせ。元気で悪かったな〜。」
少し怒った表情をしたあと、すぐに笑顔に変える。こうやってみんなと笑ってる時間が幸せだった。
そうやってみんなと登校してる時、前で白石が1人で歩いているのを見つけた。
「ごめん。ちょい先行くわ。」
「なに、白石さん見つけたからって朝から見せつけ登校か?」
ニヤニヤしながらそう言ってくる。
「そんなんじゃねーよ。じゃあまたな!」
俺は手を振ってみんなの輪からはぐれて先を歩いた。
「よっ!白石。」
歩いている白石の後ろから俺はガバッと覆いかぶさるように肩に体をのっける。
「わっ!もー鳴海くん、驚かさないでよ。」
白石は今日もご機嫌ななめ。俺と白石が出会ったのはもっと前だけど、この調子はずっと変わらないからもう慣れっ子。
「ちょっといたずらしただけだろ〜?そんな怒んなくても…」
「私急ぐから。」
俺の言葉をさえぎって、白石は歩くスピードを上げた。俺も負けじとそのペースに合わせて歩く。
「…なんでついてくるの?」
白石は怪訝そうな顔を浮かべる。
「だって一緒に行こうかなって。だめ?」
俺はいつもみたいにそう言って微笑む。白石はそうすればなんでも許してくれる自信があった。
「勝手にすれば。」
白石はプイっと顔を背け、またペースを上げて歩く。
俺はそれが白石の精一杯の返事だと知っている。
白石の横について、俺たちは一緒に歩いて学校まで向かった。
学校について、クラス割を見る。
「あ、一緒だ。」
俺は自分の名前と白石の名前を見つけた。ついでに颯也の名前も見つける。
「お前ら何年目?そろそろ気持ち悪いぞ。」
後ろから聞きなれた声が聞こえた。俺は振り向いてその声の正体を見た。
「おはよ。颯也。」
「おはよう。お二人さん。」
「…おはよ。」
こうして俺の中学二年生は始まった。
ごく普通の一年を過ごすはずだった。