其の二/真子
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 どうしてこんなに我慢してるのに報われないんだろう。そう思ったことが何度もあった。大好きな南那ならそんな自分の気持ちを理解してくれると思っていた。でもまた衝突してしまった。
元々質素な暮らしをしていた真子は自然と我慢することを覚えた。欲しいおもちゃを買ってもらえない。食べたいものを食べれない。子供ながらにそれを経験していた為だ。それが長く続けば体質となりそれが普通となる。ただ我慢すればその思いが消える訳ではなく積もり積もっていくだけだ。それを発散するのは弟であり南那の存在だった。

 少しくらい贅沢してもいいよね。今回はそう言う気持ちだった。いつも我慢してるから南那もわかってくれる筈。決して蔑ろにしてるわけじゃない。弟と南那は同じくらい大切に思ってきた。だからこそ真子自身も裏切られた気持ちになってしまった。

「どうしてこんなにも我慢してるのに」「どうしていつも南那のことを考えているのに」積もりに積もったストレスが弟の悪口により爆発した。今となっては殴ってしまったことを後悔している。自分が冷静になれば良かっただけだ。祐樹に言われた通りにすぐ謝れば良かった。南那と絶交なんて望んでいない。南那と居ることが一番の幸せなのに。なぜかまた我慢していた。自分が幸せになる我慢。


「真子。俺で良かったらいつでも相手になるよ。好きなだけワガママ言っていいから」

 またドクンと心臓が鼓動を打った。身体が熱く目の前に居る祐樹がとても愛おしく思えた。

「.もう、我慢しなくて良いの?」

「うん。だって恋人だもん」

 真子は笑顔を見せ祐樹の性器を再び包み込んだ。

「んっ......私ね先生の赤ちゃん欲しいよ。元気な赤ちゃん産んで南那やウオノメ達と一緒に育てたい」

「そっか。じゃあこのまま気持ちよくなろっか」

 真子は頷くと勇気に抱きつきゆっくり腰を振り始めた。愛液が溢れる度にムクムクと膨張していく男性器はあっという間に真子の膣いっぱいになった。

「あっ......あっ......先生のおちんちんおっきいよ......」

 セックスとは性欲を発散させる為だけだと思っていた。一過性のもの。一瞬の快楽だけを求める。けど祐樹とのセックスがそうとは思えなかった。少なからず自分は彼とずっと一緒に居たいと思っている。自分の全てを見てもらいたい。おそらくこれから何度も祐樹とセックスをすると思う。きっと周りは良く思わないだろう。不器用な自分ができる祐樹への愛情表現。誰にも邪魔させない。

 
「んっ......先生さ、一緒にイけるかな」

「大丈夫。このまま動いてくれれば真子がイくタイミングで中に出せるよ」

「わかった......」

 グチュグチュと音を鳴らし真子は腰を振る。早くしたらタイミングがずれてしまうかもしれない。だが性欲は言うことを聞かなかった。

「んっ......ダメもうイっちゃう......」

「こっちのことは気にしないで。真子のタイミングでいいから」

「うん......先生大好きだよ」

「俺も真子のこと大好きだよ......」

 
 『大好き』それは他の女性にも言っている言葉だろうが、祐樹の言葉は本物だと信じている。その言葉に安心すると膣がキュッと締まるような気がした。快楽に耐えようと祐樹をきつく抱きしめる。

「ああっ......先生っ......! あっ......!!」

「真子っ......」

 今まで味わったことない快楽が真子の全身を襲い、びくびくと震えた。その瞬間に中には熱い液体が放出された。膣を駆け巡るように奥の奥まで精子が暴れているように感じ、真子は絶頂が止まらなかった。

「んんっ……先生の精子気持ちい......」

一気に今までの疲労が真子の身体を重くさせ祐樹の身体にへたり込む。これがセックスの後の余韻なのだろうか。朝、眠りから目覚めそのまま布団から出たくない、その時の感覚に似ていた。彼の匂い、彼に包まれてる感覚がとても心地良かった。
顔を窓の方に向ける。流れる景色を見て、ここがバスの中だという事を思い出した。自分は随分破廉恥な状態で処女を喪失したようだ。セックスは場所や流れが大事と何かで言っていた気がする。しかし自分が経験してみるとそんなことは関係ないと感じた。大事なのは大好きな人が居ること。それだけ。

「ねぇ先生」

「なに?」

「バス停に着くまでこのままで良い?」

「良いよ。真子の気が済むまで」

 祐樹の胸に抱かれていると自分の中のモヤモヤが浄化されるような気がしていた。そうして心に残ったものは南那の存在だった。喧嘩別れしてから姿も見てない。元気に過ごしているのだろうか。また1人で悩んで泣いてるかもしれない。
 真子の心の中に別のモヤモヤが産まれる。それが身体中を覆う前に祐樹を抱きしめた。すると頭を撫でられ少しだけ安心できた。言葉こそ発してはないものの『大丈夫だよ』そう祐樹に言われてる気がした。
 



 
 

■筆者メッセージ
真子はわりかし「おちんちんおっきいね」とか言ってそうな感じしますよね

久々になりました。最近はツイッターの質問箱を主戦場にしてました。今みーおん(ジセダイ)への質問を募集をしているのですが今までにない量で人気に驚いております。まだまだ募集しているのでぜひツイッターの質問箱に投稿してくださいませ。

次が真子編最終話になりますね。いつになることやら

Twitter→@chaos2AKB
ハリー ( 2019/02/11(月) 23:34 )