05
「......つまり欠席を無くしてほしいってこと?」
「......そうです、無理なことを言ってるのは分かってます。けど......」
自分のしてることが情けなくて涙が出てきそうだった。困ってる祐樹の目を必死に見つめる。まさか自分が泣き落としを誘うなんて。でもこんなことを頼めるのは祐樹しか居なかった。
「出来ない事はないよ。さとのクラスも俺が管理している様なもんだし......でもなぁ」
「ダメ、ですよね......」
「何とかしてあげたいよ? やっぱりさとの為に良くないかなって思うし......」
祐樹の語尾が慎重なものに変わった。申し訳ないと思ってるのだろう。怜音は肩を落とした。
「さとがだらしないからですよね。ちゃんとアラームかけてれば」
「そんなことないって。さとは頑張り過ぎて疲れてただけだよ。ちゃんと勉強してるって証拠じゃないかな」
「でも......」
どうしても自分を責めてしまう。ほんの些細なミスをいつまでも引きずる癖があった。萌夏のお気楽で気にしない性格を何度羨ましいと思ったことか。もう少しで涙が溜まり溢れ出そうだった。
「......ダメだ。放っとけない」
落ち込む自分を見て何かを振り切った様に言葉を発した祐樹は隣に座った。
「ねえ、さと」
「はい......」
「どうしても書き換えてほしいなら、さとの大切なモノ貰っていいかな」
「さとの、大切なモノ......ですか?」
自分の宝物を思い浮かべた。思い返せば宝物は色々あるが、ただそれは祐樹が欲したところで何も役立たない様な気がした。
「さとの処女、もらって良い?」
祐樹の言葉に一瞬時が止まった様な気がした。