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祐樹は右手の中指を膣から小さく出し入れする。そして左手では由依の顔を支えた。頭を何度か撫でると頬の感触、そして唇の感触を確かるように指を這わせた。祐樹をじっと見つめていたいが同じ感覚で襲ってくるエクスタシーで身体震えてしまう。
「キスしますね」
「うん......優しくしてな」
ゆっくりと祐樹の顔が近づいてくる。目をつむり数秒待つと唇が触れた。緊張からか思わず祐樹にしがみ付く。
ふわっと宙に浮いたようなそんな気分だ。数秒の口付けが続くと一旦離れ再び口付けをされる。それが何度も繰り返された。
「力抜いて」
祐樹の言葉にコクっと頷き、身体を預けるように寄りかかった。すると唇が祐樹の舌でこじ開けられ自分の舌を捉えようとしていた。舌の先と先が当たると身体が反応する。それからトロトロとした唾液が舌に塗られた。
ぴちゃぴちゃと舌が絡まるたびに音がする。素直に『気持ちいい』と感じた。自分ではどう動かせばいいか分からないがぎこちない舌遣いをサポートしてくれるかのように優しく動いてくれた。
「どう?」
「分からへん......でもこの時間がずっと続けばええのにって思ったわ......」
「なら良かったです。横山さんが初めてなので記憶に残したいなって」
「もう刷り込まれた。あの子らはまだ女子高生なのにこんな濃厚なの経験してるんか」
そりゃあ祐樹には何人もの愛人が居るわけだ。もう他の男と恋愛なんてできなくなる。脳髄に直接刻まれるような口付け。まだ経験が無い内なら尚更だ。自分ももう祐樹じゃなきゃ物足りなくなるかもしれない。
「そんなに良かった?」
「そやな。許婚と結婚して離婚したら多分あんたのせいやろうな」
「じゃあ離婚したら僕が責任を取りますよ。待ってます」
「またそんなこと言って。あんたはホントにアホやわ」
もし許婚との結婚を断れるのなら。由依は頭の中で絵を描くように祐樹と自分の姿を映し出した