02
元々、しっかり清掃を行わないのもあってか雨による湿気で尚更校内はカビ臭く感じた。誰も居ない薄暗い校舎には外の雨粒が地面に叩きつける音だけが響いている。由依は制服についた水滴を落とすように全身を擦った。髪の毛を掻きあげてその手についた水滴をはらうのを繰り返した。
「タオルありました」
小走りで由依に駆け寄る祐樹。その手には大きな白いタオルが2枚ほど握られていた。校舎に先についていた祐樹はタオルを探していた。見当はついていたらしく白いタオルは保健室のものらしい。
「ん、ありがと」
由依は一枚タオルを受け取ると顔を覆った。保健室のタオルだからか多少薬臭い。風呂上がりのような落ち着いた気持ちになりふうっと息をつく。すると、体が何かで包まれていることに気付いた。顔からタオルを離すと祐樹がすぐ近くに居て、由依の体を拭いていた。
「ちょっと、自分で出来るって」
「あっ、すいません......」
祐樹はハッとした顔で由依を見たあと、後ろへ後ずさりした。どうやら無意識にやっていたようだ。
「そんなに離れんでええよ。世話好きなんやな」
「まぁいつもやってあげてたんでつい......」
「いつもってウオノメ?」
「そう、ですね」
由依は揶揄うように笑った。祐樹の日常を垣間見れたようなそんな気がした。自然に自分の胸やお尻を躊躇なく拭いてきた手つきから女慣れが感じられる。
「ヨガにもこうやってしてあげてるん?」
「あーいや、杏奈は一緒にお風呂に入ってくれないから」
「なんやあんたらそれ以上の関係やないの?」
由依は首を傾げた。確か、杏奈は卒業後に身体の関係を結んでいるはず。杏奈は経験が少ないせいか顔に出やすい。ずっと杏奈の顔が赤くぼーっとしていることがあった。きっとそういうことだろうと由依は喜んでいた。
「杏奈は全裸を見られるのが嫌みたいで。部分部分は知ってるんですけどね」
「聞くんやなかった。惚気と下ネタの合わせ技やん」
聴き始めたのは自分からではあるが、そういうことを聴きたいわけじゃなかった。由依は怪訝そうな顔をし祐樹を視界から消すように再び顔をタオルで覆った