04
前、自分の太ももに触れられた時は緊張からか祐樹の手の震えを感じた。だが今は女性と遊ぶことを目一杯楽しんでいる気がした。教師だというのにいろんな女性と関わってきたというがその経験が祐樹を変えたのだろうか。
玲奈は巨大なテーマパークを旅行のメインにしていた。そのテーマパークに足を踏み入れてから玲奈は高揚感に包まれた。そのせいか祐樹の手を握りたくなった。今だけでいいから教師と生徒以上の関係になりたいと思ってしまった。
「ねぇ、手繋ごうよ」
「うん。別にいいよ」
意外とあっさり了承され驚いたが、玲奈は祐樹の手に飛びつきサッと恋人繋ぎに持っていく。それからと言うものの祐樹は玲奈の気持ちを知っているかのように玲奈の頭を何度も撫でた。どれだけ密着しても祐樹は受けて入れていた。
人目をはばからず、抱きついても引き離すことをせず『どうしたの?』と言いながら抱きしめてくれた。決して遊びだとは思えなかった。私のことを好きだから、きっとそうだ。朱里と上手くいってなくて私のことが好きになったんだ。玲奈は祐樹の胸の中で風船のように膨らんでいた思いを破裂させる。
テーマパークにある飲食店で玲奈は2人分の同じドリンクを注文する。
前に訪れた時にも飲んだことのある人気のドリンクだ。早々に出てきたドリンクを持って玲奈は外のベンチに座っている祐樹の元へと向かった。
彼を目で捉えた。ただ愛しい彼は誰かと通話をしていた。とても楽しそうに見えた。玲奈は頭の中で朱里の姿が思い浮かぶ。そう思うとどんどん心がゆっくりと締め付けられていった。
『誰と電話していたの?』
『ん? 朱里だよ。どうかした?』
こんな会話になってしまうのが怖くなった。祐樹はやっぱり私をただの遊び相手だと思ってるのかもしれない。
じっと祐樹を見てると玲奈に気付き通話を取りやめた。スマートフォンをポケットに入れる仕草を終えるとこちらに向かって手を振ってきた。
悪い考えを吹き飛ばすように玲奈は顔を振って表情を笑顔に戻した。
違う。きっと彼は家族や男友達と通話していたんだ。
駆け寄った玲奈は右手に持っていたドリンクを祐樹に渡し、隣に座った。