第六章/ゆりあ
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「あーあ、親友の彼氏に手ぇ出しちゃったなぁ」

「そんなこと言ったら僕だって彼女の親友に手を出したことになります」

「へへ、お互い様だね。祐樹が望むなら杏奈に秘密にするよ?」

「でも杏奈さんは気付くと思いますよ......」

 確かゆりあは杏奈の能力を知らない筈だ。『人の心を読める』中々受け入れ難いものではある。親友のゆりあにとって杏奈の能力は気にしないかもしれないが、あえて教える必要も無い。

「それもそうかも。杏奈ってめっちゃ勘が良いっていうか。落ち込んでるときすぐ気付いてくれるんだよね。人の心読めるのかな」

「エスパーじゃあるまいし、ゆりあさんことよく見ているんですよ」

 祐樹は上手く躱した。小柄なゆりあの頭を撫でる

「そっか。だったら尚更悪いことしちゃったなぁ」

「......杏奈さんは恋人同然なんですけど、正確には付き合ってないんです」

「もう、そうやって慰めなくていいよ。それとも私のことが好きになったとか?」

「いや、そうじゃなくて、ホントに正確には恋人じゃないんです」

「どういうこと?」

 不思議な表情で祐樹を見上げたゆりあ。まん丸なその顔の頬をを右手で触るとモチモチとした肌が手の平に吸い付くようだ。頬から手を離すと杏奈と自分の関係を遡るようにゆりあに教えるのだった。



「ふーん。まぁ杏奈らしいっちゃらしいかなー」

 恋愛というより人付き合いが苦手な杏奈。祐樹に嫌われたくなくてそんな約束を取り付けたのだろう。それにこの男は絶対杏奈を捨てない。それだけの信頼が有る。例え杏奈の他に恋人が出来ても同じくらいの愛情を注いでくれるのだろう。抱きしめられてる今も不貞である自分に愛情が伝わるのだから。

「杏奈さんにはいつも嫉妬ばかりさせてしまって」

「しょうがないよ。こんな優しかったら大抵のマジ女のヤンキーは祐樹のこと好きになるって。そんでそれを受けいれちゃうんだから」

「.......返す言葉もないですね」

「まぁ私が言える立場じゃないけど......。ねぇ、恋人作っていいってことはさ、エッチもオッケーなのかな」

「え......? ま、まぁ大丈夫じゃないですか。え、まさか、ゆりあさん......」

 奈々や彩希の事を思い出す。あの時は軽い気持ちだった。杏奈の事は漠然としか考えていなかった。
 ゆりあの口から卑猥な言葉が飛び出し、思わず下半身が反応してしまった。ゆりあの下腹部に硬くなったものが当たっている。

「うん。......ダメ?」

 ムクムクと男性器が大きくなる。それを悟られぬようにゆりあを自分の身体から離した。ゆりあは俯く。

「ダメに決まってますよ。いくら良いと言ってもゆりあさんは軽い女じゃないでしょ?」

「じゃあ、さ。エッチしてくれたらラッパッパに戻るよ。それに今日で祐樹の部屋から出て行くからさ.......。この条件ならどう?」

「いや、条件とかそういうことじゃ......」

「だって迷惑でしょ? ほんとに泊めてくれるなんて思わなかった。祐樹は優しすぎだよ。一度だけでいいからその優しさに溺れたいの......お願い、ゆりあを好きにしてよ」

 ゆりあの鋭い目線が祐樹の身体を支配する。ラッパッパに戻ってほしいが、杏奈とゆりあの関係はどうなるのだろう。最悪の事態になるのかもしれない。それでもゆりあは過ちを犯してでも前に進もうとしているのだ。不器用な少女は不器用な方法で助けを求めている
 もう何度目だろうか。祐樹は大きな決断を迫られた。






 


 

■筆者メッセージ
機関車にに石炭を放り込んどります。暴走が始まるでしょう。
キャバすか3話まで見ましたが、メンバーの仕草ばかり確認してストーリーがさっぱりです笑りょーかが胸を寄せるところとか笑

RYOさん
はい、おそらく勝てません。勝てる日は来ません笑
ハリー ( 2016/11/08(火) 22:41 )