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「今までで一番ドキドキしたかも」
唇を離した彩希は頬が赤くなっていた。恋心が存在するだけでこんなにもキスが濃厚に感じるのか。
「そっか」
祐樹はそれだけ返した。彩希の過去の事はなるたけ聞きたくない。その代わり、彩希の頭を優しく撫でる。彩希は猫のような表情を浮かべた。
「へへっ。じゃあ続きしよっか。起き上がれる?」
「大丈夫ですよ。彩希さんの相手をするんだから僕も頑張らないと」
場数はかなりのモノであるだろう彩希とするのだ。『物足りない』なんて言われたくなかった。よいしょ、と祐樹は身体を起こす。やはりセックスとなれば第二のエネルギーでも発動するのか、あれだけ疲れていた身体が軽かった。
「あっ、今名前で呼んでくれた」
「そういえばそうですね」
「嬉しいよ。まるで恋人みたいだからさ。ずっと『彩希』って呼んでほしかった」
彩希はベッドからピョンと下りると祐樹の身体を引っぱり、足と足の間に収まった。その途中にサイズが大きいTシャツで隠れていた彩希のパンツが祐樹の目に入る。どうやら下は縞模様のパンツだけしか穿いていないようだ。
「彩希さん下穿いてないの?」
「うん。暑いし家だから穿かないときが多いかな。ん? 興奮しちゃったの?」
どうやら誘惑する為に穿いてないわけじゃないようだ。それでも思わず目が釘付けになった。彩希の尻はふっくらと丸みを帯びた可愛らしい形だった。彩希はニヤニヤしている。
「まぁ、ね。可愛いです」
「ありがと。遠慮しないで見ていいからね」
そう言うと彩希は祐樹は穿いているハーフパンツに手をかけゆっくり下ろす。祐樹は手助けする様に腰を浮かした。
パンツを見て、男性器はどんどん膨張していく。服を脱がされる興奮がたまらない。外界に飛び出した男性器は彩希の方を向いている。彩希は祐樹の片足だけハーフパンツを外した。
「してほしいことってある?」
男性器を細い指で掴み弱い力で上下に擦り始める。経験がモノを言うのか、早くも祐樹の下半身は反応してしまっていた。
「んっ……彩希さんが好きな様にでいいですよ」
「うん、分かった」
彩希は頷くと躊躇することなく男性器を口に含んだ。
「あっ……!」
祐樹は思わず声が出る。男性器は彩希の舌にあっというまに犯されていった。生温かい唾液、ねっとりとした舌使いが祐樹の気を遠くさせる。卑猥な水音が響き渡った。
「彩希、さん……」
関係を持ったのは今日が初めての筈。なのに彩希は自分の刺激のツボを知っているかのようだ。性欲の数値は爆発的に上昇していく。これではセックスまで絶対持たない。だが、辞めてほしくもなかった。
祐樹は上下に一定のリズムで動く彩希を見る。そのとき、その奥にダボダボのTシャツから溢れた谷間が確認できた。彩希の胸はそれほど大きいわけではない。が、小振りで揉み甲斐があるものを持っているようだ。
祐樹は右手を伸ばし彩希の首もとから胸元へと侵入した。欲望をぶつけるように小振りの胸を揉みしだくと彩希の身体がピクピクと震え出した。その反応が祐樹の変態性を増幅させる。
もうダメだ。このまま彩希の中で果てよう。一度果てたとしても性欲は収まる気がしない。
「……このまま出して良いですか?」
「んっ、いいよ」
それだけ言うと彩希は再び咥え、慣れた手付きで速度を速めた。一気にゾクゾクした射精感が押し寄せ彩希の頭を抑える。
「彩希……彩希……! ああっ……!」
「んっ……!」
ビクンと祐樹の腰が震え、彩希の口内を突き上げた。
そしてリミットを超えた欲望は熱い精液となって口内に思い切り広がった。それから数回腰がビクビク震え、頭を抑えていた手の力を徐々に緩めていく。
彩希は祐樹が全てを出し終えたことを確認すると、舐めとるように舌を動かし男性器から口を離した。
そして口の中でクチュクチュと動かし、祐樹に向けて口を開いた。
「あー……」
彩希の口の中には白い液体で溢れていた。おそらく今までにも口に射精された精液を見せるように指示されたことがあるのだろう。何もかも手慣れていた。
「彩希さん、飲まなくていいですからね」
「んっ」
コクンと頷いた彩希は自分で作った手のひらの器に精液を少しずつ出していく。全部出したときは白い湖が出来ていた。
「へへ、いっぱいでた」
ニンマリと笑う彩希は無邪気な子供のようだ。その姿に自分自身の性欲の数値が再び上昇していく。
今の自分は狼になりかけた狼男。彩希を欲している。男性器も萎えることもなく固くなったままだ。
だが、唾液で濡れた男性器を眺めたとき祐樹はあることに気付いた。
そう祐樹は避妊具を持ち合わせていなかったのだ