07
「ん? どうした先生?」
あっけにとられている祐樹を美音はキョトンとした表情で見ている。
「あ、いや、なんでもないですよ……」
美音は、ふうん、と言うと座って再びぬいぐるみを選別し始める。祐樹も美音に続いて座り、置いてあった缶ジュースを飲んだ。美音は胸元を見られたことに気づいていないようだった。それに安堵した祐樹だが心の中では激しく動揺していた。頭を振ってさっきの記憶を消そうとするが鮮明に焼き付いたのか消すことが出来ない。
下着までは見えなかったものの、男が反応するには充分だ。Cカップ、いやDカップはあるだろう。まさかこんな幼い容姿なのに胸が大きいとは。あの制服を、捲ったら……
美音の卑猥な姿を想像した途端、祐樹の性器が反応する。
「なぁ、先生」
祐樹が発情を抑えているとは少しも思っていない美音は何気なく口を開く。
「なんですか? 向井地さん」
美音に心の乱れを感づかれない様に祐樹は応えた。
「先生ってこの辺に住んでるのか?」
「うーん。この辺って言えばこの辺ですけど、町外れですかね」
「ふーん、そうなのか」
祐樹の返答を聞くと美音は何かを考えているようだった。祐樹も美音を見つめる、が、ついつい胸の辺りに目線が行ってしまう。気付かれてはいけないと祐樹は正面に目線を戻した。
「よし! 先生ん家行こうぜ!」
「え?」
思わぬ美音の発言に祐樹は再び呆気に取られた。何かの聞き間違いだろうか。だが美音は子供のような笑顔で祐樹を見ている。
「だから、先生ん家に行こうってば」
聞き間違えではなかった。突然のことに祐樹は慌てふためく。心臓は高鳴っていた。
「いやいや!! ダメですって!」
「別にいいだろ? 減るもんじゃないし。ウチこのあと暇なんだよ。」
「教師の家に生徒をあげるなんてタブーですから!!」
祐樹の必死の抵抗に美音は口を尖らせる。どうしようか、火鍋のメンバーは皆用事があると言っていた。このままゲームセンターに居たいが美音の小遣いは残り僅かだった。美音がそう考えていると、美音はあることを思い出す。
「でも、先生さっきタブーなことしたよね?」
「な、なんですか」
美音は小悪魔のような表情を浮かべた。
「さっき、ウチの頭を触ったよな? あれも充分タブーだよな」
祐樹は、心臓が握り潰されるような衝撃を受ける。やはり根に持っていたのか、祐樹は自分が情けなくなった。
「これ他の人に言ったら、先生続けられなくなっちゃうね」
美音は足を組むと、祐樹の顔を覗き込んだ。
「ふふっ、じゃあさ先生の家に連れて行ってくれたら言わないであげるよ」
これは救済なのかそれとも騙されているのか。何にしても行動しなければならなかった。
全ては生徒を如何わしい目で見てしまった自分が悪い。そして祐樹は無理矢理開き直るのだった。
「……よし、向井地さん行きましょう」
祐樹は立ち上がって美音を見つめる。
「そうこなくっちゃ」
もうどうにでもなってしまえ!
祐樹は心の中で叫んだ。