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時の流れは早く残酷だった
家のなかは大量の段ボール箱で溢れ帰っており、何処か寂しい景色になった
「俺も準備しなくちゃな…」
重い腰をあげ二回にある自分の部屋へと向かった
準備は進んでおらず、漫画や小説が段ボールに詰められてあっただけだった
「はぁ……」
無音の部屋に溜め息が響き渡った
結局何も言えずに何日がたった
不意に思い出す珠理奈の顔
胸が締め付けられるように苦しくなる
転校までもう時間がないのに何も行動できない自分に腹が立つ
かといって軽々しく行動を起こして関係が悪化するのは心底嫌だ
バイブ音が部屋に鳴り響いた
表示された名前は『松井珠理奈』
『明日、一緒に買い物いかない?』
「え……」
思わず声が出てしまった
この重々しい状況のなか買い物?
楽しみな気持ちより不安、不思議さが勝った