07
必死で走った
息はもうとっくに切れている
辛いししんどい
しかし一刻も早く会いたい。謝りたい
全力で俺は走り続けた
住宅街に入りここを真っ直ぐ進み二番目の角を曲がれば…
ちょうどその姿は見えた
鞄を肩にかけ、短めのスカートを揺らしながら歩いている少女
マフラーに顔を埋めて何処か暗い表情の彼女が
「珠理奈!!」
息が切れているのに何処からそんな声が出てくるのか不思議なくらい大きな声で叫んだ
無意識に彼女の名前を…
「諒くん…?」
こちらの姿を見つけると駆け寄ってくれた
「ど、どうしたの?」
真冬なのに少し額に汗を滴らせ、息を乱している俺をみて動揺している
「珠理奈…ごめんな……」
「え……」
苦しい呼吸の中、俺は精一杯言葉を発した
「俺、色々ひどいことしたし…その自覚もなかった」
そういや人と話すのは随分久しぶりな気がする
まさかこんな形で話せるとは思ってもいなかった
向田さんに感謝しなきゃな…
「俺、ちょっといろいろあってさ…むしゃくしゃしてた…周りに八つ当たりしてたんだ。松井に叫んでしまったのもそれが原因なんだ…」
あれ…
視界が歪んできた…
だせぇな…俺……
頬を伝う涙を吹きながら言った
「でも…やっぱり気付いたんだ…珠理奈が好きだって…ずっとそばにいたいって…」
「ホント…ごめんな……」
「バカ……」
耳元で涙声が聞こえたと同時に胸に松井が飛び込んできた
静かな冬の街に二人の小さな泣き声は暫く鳴りやまなかった