第九章
03


『さようなら!』

揃った挨拶が教室になり響き始業式を終えた


軽い鞄を持ちながら席を立った


「帰ろ!」

俺の前を塞ぐ彼女

正直人目も憚らずこう言うことを言うのはやめてほしい

俺は黙って横を通りすぎた


「あ…待ってよ!」












無視に近いことをしたのに依然として横に着いてくる松井


「でね…あかりんがさ……」

楽しそうに話す彼女

俺は上の空でなにも聞いていなかった




「ねえねえ聞いてる?」


何で聞かないといけないんだ?

勝手に喋っとけよ

そんな最低な言葉が喉元まででてきかけたが飲み込む


俺は黙って歩き続けた



すると突然横の松井が走りだし俺の前に出て道を塞いだ





「元気ないね…何かあったの?」


心配そうに俺を見上げる松井

「何でもない…」

前に進もうとしたが松井に両手を捕まれた


「ねえ…悩みがあるなら聞くよ?私でよかったら…」

「しつこいんだよ!」



あ…やってしまった


ビクッとして怯える松井


「いや…ごめん……」


急いで謝るがもう遅い





松井は走り去っていた




さっきまで松井が立っていた場所には小さいが濡れた後が残っていた








「はぁ…」

もう溜め息をつくことすらしんどかった



BBQ ( 2013/10/22(火) 21:48 )