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木崎が持ってきてくれたジャージはピッタリだった
お兄さん何歳なんだろう?
そんなことを一瞬考えたがもっと大きな問題があった
「ヤバい…家に連絡入れなくちゃ…」
「もう帰るの?外すごい雨だよ、ほら」
そういって木崎がカーテンをめくると外は雨がさっきより激しく降っていた
どうしよう…
母さん車運転できないし、この雨の中向かいに来てもらうってのも気が進まないな
「お母さんもお父さんも帰ってくるの遅いし、もう少し居てもいいよ」
そういわれるとありがたい
とりあえず、これからどうするか考えよう
「電話借りてもいいかな?家に連絡入れるから」
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「いいよ。はい、どーぞ」
そういって子機を渡された
プルル…プルル…
ガチャッという音が聞こえた
『はい、山本です』
「あ、母さん。諒だけど…」
『あ!諒か…今どこにいるの?』
素っ気ないな…普通息子が7時近くまで帰ってこなかったら心配するだろ
「今は友達の家にいるよ」
『迷惑にならないようにしなさいよ。この雨じゃ私向かいに行けないからお父さん帰ってきたらまた電話するから。』
「分かった。じゃあまた」
とりあえず連絡はした
けど…
これからどうしよう
「連絡ついた?」
俺が考え込んでいると木崎が声をかけてくれた
「ああ、一応ね。悪いんだけどもう少しここに居てもいいかな?」
「いいよ。さっきの部屋でゆっくりしといて」
「ありが…」
そういいかけた時
グゥ〜
俺の腹がマヌケな音を発した
「アハハ!スッゴいお腹鳴ったよ。アハハ…」
我ながらなんという失態だ
恥ずかしい…
「お腹空いてるの?」
木崎が聞いてくる
「うん…まあ…」
「ご飯食べていきなよ」
え…
なんか意外だった
木崎が俺のこと気遣ってくれるなんて不思議だ
でももう俺の腹は考えている場合ではない
「…お願いします」
「少し待ってて。もうちょっとで出来るから」
なんだか申し訳ないな…
グゥ〜
もう一度マヌケな音が部屋に響き渡った