第五章
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少しだけ…ほんの少しだけ雨が弱まった

俺は帰るなら今しかないと思い松井に言った

「雨が少しマシになってきたから、今のうちに帰るぞ」

「分かった…帰ろう」

少し松井がうつむいて言った


俺と離れるのが嫌なんだろうか…そんなことを少しだけ思ってしまった


やっぱ俺どうかしてるよ…


俺たちはせーので外へ出て家へと走った

雨が弱まったとはいえどもまだ十分どしゃ降りだ


夢中で走っているとやはり俺の方が速く、松井が後ろで止まってしまった

「山本君速すぎ…ついていけないよ」

呼吸を乱しながら松井は言った

「ゴメン…少し休んでから行こう。今度はペース合わせるよ」


松井は力なく頷いた

顔が火照っている。顔色もあまりよくない

風邪移しちゃったか…


「しんどいよ…体が熱っぽい…」

そうつぶやいた松井はいつもより何倍もか弱く見えた




俺は黙って松井の手を握りそのまま走りだす


「あ…ちょっと」

「もう少しだ。頑張れ」




松井の家までもう少しだ

出来るだけ負担をかけないよう最善を尽くして俺は走り続けた



BBQ ( 2013/09/14(土) 23:46 )