07
少しだけ…ほんの少しだけ雨が弱まった
俺は帰るなら今しかないと思い松井に言った
「雨が少しマシになってきたから、今のうちに帰るぞ」
「分かった…帰ろう」
少し松井がうつむいて言った
俺と離れるのが嫌なんだろうか…そんなことを少しだけ思ってしまった
やっぱ俺どうかしてるよ…
俺たちはせーので外へ出て家へと走った
雨が弱まったとはいえどもまだ十分どしゃ降りだ
夢中で走っているとやはり俺の方が速く、松井が後ろで止まってしまった
「山本君速すぎ…ついていけないよ」
呼吸を乱しながら松井は言った
「ゴメン…少し休んでから行こう。今度はペース合わせるよ」
松井は力なく頷いた
顔が火照っている。顔色もあまりよくない
風邪移しちゃったか…
「しんどいよ…体が熱っぽい…」
そうつぶやいた松井はいつもより何倍もか弱く見えた
俺は黙って松井の手を握りそのまま走りだす
「あ…ちょっと」
「もう少しだ。頑張れ」
松井の家までもう少しだ
出来るだけ負担をかけないよう最善を尽くして俺は走り続けた