06
まだ雨が降り続いている
しかもさっきより勢いよく降ってきていて止む気配はない
「雨…止まないね」
「うん…さっきより強くなってるよ…」
もうかれこれこの雨のせいで俺と松井は20分間動けずにいた
「親御さん大丈夫なの?心配しない?」
「うーん…どうだろ…多分大丈夫だよ」
まあこの雨だし少しくらい遅くなっても平気だろうな…
それより…
さっきから身体中が火照っている気がしてとても熱い
さすがカッターシャツ一枚じゃキツかったかな…
ふと隣の松井を見るとあちらも寒そうに体を擦っていた
松井は俺の目線に気づいたのかこっちを向いた
「ねえ、山本君はさ、女の子と二人っきりなのに緊張しないの?」
寒さに気をとられて意識していなかった
冷静に考えれば憧れるシチュエーションだろう
クラスの人気者の女子と狭い空間の中もう30分近く一緒にいるんだ
普通の人は緊張してしまうだろう
「俺は…」
ダメだ…声もがらがらになってる
風邪引いたな…松井に移さない様にしないと…
「私はさ…」
先に松井が口を開いた
「私は…ちょっとドキドキしてるよ…」
ドクン
俺の心臓が大きく跳ねた
少し照れながら言った松井の言葉に俺は急に心拍数が上がった
俺はついさっきまで普通に話していた女の子の顔を見ることさえ出来ないほど意識してしまっていた
今までに体験したことないような感情
これはいったい何なんだ?