03
「山本君の事が好きなの」
ついにこの瞬間が訪れた
直球だけど一番気持ちが伝わる言葉だった
「転校してきた時から一目惚れで…話してみたらもっと好きになって…」
頬を赤くしながらも彼女は続ける
「だから…私と付き合ってください」
彼女の言葉には迷いがなかった
俺もその気持ちに答えなければいけない
もう答えは出ている。しっかり伝えよう
俺は彼女に言った
「ごめん。俺は高柳さんとは付き合えない」
正直な気持ちだった
高柳さんとは恋人になるには何か違う
ハッキリとした理由は自分でも分からないがこんな中途半端な気持ちで付き合っても彼女を悲しませるだけだ
だから高柳さんの告白を断った
「そっか…でも何でなの?教えて」
「え…?」
「なんで明音じゃだめなの?他に好きな人がいるから?ねえ!答えてよ!」
俺は胸ぐらを掴まれてそう叫ばれた
女の子に胸ぐらを捕まれることにも驚いたがそれ以上に高柳さんのすごい剣幕に俺はどうしたらいいのか分からなくなった
「明音のどこがだめなの!?ねえ!何とかいってよ!」
「ちょっと!何してるの!?」
そこに現れたのは松井だった
何で松井がここに?
「落ち着いて!高柳さん!」
そう言われた高柳さんはさっきまでの事が嘘みたいに落ち着いた
しかし…
「ゴメンね。山本君…サヨナラ…」
泣きながら出ていった高柳さんに俺は何も声を掛けることが出来なかった
俺は突然すぎる出来事にただ突っ立っているだけだった